最古の化石の探索は、生物進化の謎を解く、最も興奮に満ちた研究です。先カンブリア時代の地層から産出する大型化石には、クラゲや藻類の化石、あるいは生物の活動の跡(生痕化石)があります。しかし、それらのなかには、たい積作用や地殻変動など、生物とは無関係につくられた構造、すなわち偽化石があり、古生物学者たちを惑わせてきました。
先カンブリア時代の海には、海底表面とたい積物にわずかに潜る、しかも硬い体を持たない生物しかいませんでした。それらは、現在の海の生物のように、海底の砂や泥をかき乱すことがなく、そのため海底はいたるところでバクテリアからなる薄い膜(バイオマットと呼んでいます)で覆われていたと考えられています。先カンブリア時代には、バイオマットが関与したと思われるさまざまな構造が地層中に残されています。
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