七夕の星、おりひめ(織女星)、ひこぼし(牽牛星)は、それぞれ、こと座の1等星ベガ、わし座の1等星アルタイルにあたります。この二つの星は夏の夜の明るい天の川をはさんで輝いています。七夕の伝説では、織女と牽牛は1年に1度7月7日の夜にだけ会うことができるのです。では、七夕の夜に夜空をずっと見ていたら、二つの星が近づくのが見られるのでしょうか?
私たちからベガまでの距離は25光年、アルタイルまでは17光年です(1光年とは光が1年かかって届く距離のことで、約9兆5千億km)。そして、二つの星の間のじっさいの距離は15光年になります。すなわち、宇宙でいちばん速い光(秒速30万km)でさえも15年もかかる距離ですから、一晩のうちに二つの星が近づいて会うわけにはいきません。
伝説のお話は美しいのですが、7月7日の夜、七夕の星たちをずっと見ていても、残念ながら二つの星が会うことはありません。
なお伝説では、7月7日が雨の時にはカササギが天の川にそのつばさで橋をかけて織女を渡します。この橋は、現在の星座でははくちょう座の羽のところです。また、ベガとアルタイル、はくちょう座の1等星デネブの作る三角形を夏の大三角とよびます。
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