東日本大震災 標本レスキュー活動の続報
東日本大震災 標本レスキュー活動の続報
東日本大震災で被災した博物館等の施設から標本を救い出し復元する「標本レスキュー」が行われており、日本中の様々な博物館から職員が現地にむかい作業に当たっています。
その状況等は、科博NEWS展示などでも活動の報告を行って参りましたが、まだまだ継続されて行われています。国立科学博物館の職員も、被害にあった様々な分野の標本についてレスキュー活動の協力を行っております。
今回ホットニュースでは、継続されている標本レスキュー活動について、一部の近状を報告します。

陸前高田市海と貝のミュージアム「ツチクジラ剥製標本」の修復

陸前高田市海と貝のミュージアム「ツチクジラ剥製標本」の修復
担当:山田脊椎動物研究グループ長
大津波の直撃を受けた、陸前高田市の海と貝のミュージアムにおいて目玉展示であったツチクジラの剥製標本は、たっぷり海水を含んでしまっており、現地での応急処置を施した後、茨城県の国立科博物館筑波研究施設の自然史標本棟に移送されました。
標本の燻蒸の後、筑波地区にて強制乾燥を行ったツチクジラ剥製標本について、本格的な修復作業を行いました。
まず、樹脂コートFRPガラスクロス剥離、表皮カビの処理の作業が行われました。製作当初の本来の姿と海と貝のミュージアム新設オープンの目玉展示としての姿を対比できるよう、標本の左側面は剥製のテクスチャなどが見える状態に、右側側面はコーティングを残した状態とすることが決定しました。表皮養生で標本表皮補修作業を終え、ひとまずの修復作業が終了しました。
このツチクジラは科博の収蔵庫で再び地元に戻るのを待っています。
陸前高田市立博物館で被災したホルマリン液浸標本の整理作業
動物分野 標本レスキュー活動 8月21日~24日
陸前高田市立博物館で被災したホルマリン液浸標本の整理作業
担当:松浦研究調整役
陸前高田市立博物館で被災した魚類などの液浸標本について、保存液の交換、標本ビンの移し替え、ラベル情報の確認などを行い、標本情報をデータベース化しました。このレスキュー活動は国立科学博物館、岩手県立博物館、北海道大学総合博物館、岩手県水産技術センターおよび日本魚類学会の5機関の協力によって行われました。また、岩手大学の学生有志も参加しました。
陸前高田市立博物館から搬出された標本(200本)は岩手県立博に保管されていました。今回のレスキュー活動によって、魚類50件、甲殻類など海産無脊椎動物約20件、菌類約50件の標本整理を行いました。ラベル情報のない残りの標本は岩手県博に保管して、標本の今後の扱いは地元の判断にゆだねることにしました。
地域の博物館が身近な生物の標本を保存しておくことは、その地域に生息する生物を知るために重要です。今回の活動によって貴重な標本が博物館、大学、水産研究機関、そして学会の連携によって救出された意義は大きいです。

標本レスキュー活動の継続
国立科学博物館は、国民の貴重な財産である標本資料について、その所在情報等の集約をすすめて、博物館や大学等で保管が困難となった標本資料の受入れなど、貴重な標本資料を守るためのセーフティーネットの整備に努めております。
被災した標本をレスキューすることは、まさに当館がそのような役割を果たす勤めるべき大変重要な活動です。
今後も継続される活動につきまして、進展など展示等を通じて皆さんにご紹介して参りたいと思います。
