2010-10-29

壊さずに中を見る?CTスキャンでの研究資料観察とは?


いろいろ研究で使われています。

CTスキャンは、現在様々な分野で使用され、特殊な技術が開発され、進歩しつつあります。大きな成果も報告されています。例えば、440万年前のラミダス猿人の研究では、マイクロCTが活用され、骨や歯の測定がされ、国際的な深海掘削プロジェクトでは船の上に搭載されて活用されています。

・古人骨の頭部復元での活用
古人骨や化石人骨の研究にもマイクロCTが活用されています。化石骨や歯を台に置いてゆっくり回転させながらX線を照射し、断面の形を再現していきます。医療用CTよりも精細な画像が得られ、歯のような小さな物でも約1時間かけて全体を撮影すれば、表面を覆うエナメル質の厚さの微妙な違いまでわかります。また、データはコンピュータで自在に組み合わせられるのでさまざまな分析に利用できます。ラミダス猿人頭部復元では、破片の断面を1万枚以上撮影し、そのうち5千枚の画像から60以上の骨片や歯の3次元データをつくり、頭の形に組み上げられたそうです。1万8千年前の「港川人」の頭骨もマイクロCTで撮影し、研究に役立てられています。科博人類研究部の海部陽介研究主幹と河野礼子研究員は、マイクロCTデータをもとに、港川人の下あごの復元をやりなおしました。これによって国内外のデータと比較することが出来、南方要素が強く本土の縄文人とは近縁でない可能性を示すことができたそうです。そして、それらのデータを基にオーストラリア先住民の特徴を含む新たな復元モデル制作に結びついたそうです。

・CTによる深海の海底のボーリングコアを観察
深海の海底をボーリングにより掘り、地球について明らかにする国際共同研究である統合国際深海掘削計画(IODP: Integrated Ocean Drilling Program)において、地球深部探査船「ちきゅう」が独立行政法人海洋研究開発機構(JAMSTEC)により建造・運用されています。その探査船「ちきゅう」は2500mの深海底からさらに7000mまで掘削する機能があり、地殻の下のマントル採取までを目指している世界最高の掘削船です。深海の特殊な環境から掘られた円筒状に掘り出されたボーリングコアである地層サンプルは、船の上ですぐにCT撮影などの非破壊の検査が行われます。CTの装置は病院で使用されるのと同様の機械だそうです。船上ですぐに、コアの状態を調べることが出来、掘削する場所の詳細な決定についての情報を得ることも出来るようです。