海棲哺乳類

ミャンマーに大型ヒゲクジラを求めて -初めて確認されたツノシマクジラ-

ミャンマーはインド洋北部の最東端 ベンガル湾とアンダマン海に面する

インド洋にはどんな大型ヒゲクジラ類が分布し、ミャンマー近海ではどのように生きているのだろうか。
Holmes et al(2014)は、確認されている種として、ニタリクジラ(あるいはカツオクジラ)、シロナガスクジラを、棲息している可能性がある種としてナガスクジラとミンククジラを挙げている。同じくHolmeset al, (2014)も述べているように、まずはミャンマー各地に保存されている鯨類骨格標本をきちんと同定し、記載し、収集地データなどをきちんとまとめておく必要がある。
国立科学博物館動物研究部では2016年から2020年にかけ4回の調査で、ミャンマー国内に保存されている大型ヒゲクジラの標本を調査し、従来知られていたシロナガスクジラ、カツオクジラに加えて、2003年に記載されたツノシマクジラも数個体保存されていることを確認した。

Holmes et al, (2014)は、カツオクジラとシロナガスクジラの存在は確認されており、ミンククジラとナガスクジラは可能性ありとしている。

Balaenoptera edeni カツオクジラ 分布確認
Balaenoptera musculus シロナガスクジラ 分布確認
Balaenoptera acutorostrata ミンククジラ 分布可能性大
Balaenoptera physalus ナガスクジラ 分布可能性あり
カツオクジラとシロナガスクジラ

本研究で訪問した研究施設など

No. Institution
1 Yangon Zoo, Natural History Museum
2 Pathein University
3 Mawlamyaing University
4 Dawei University
5 Myeik University
6 Hlawga Fishery Station
7 Ministry of Fishery, Nay Pyi Taw
研究施設

本研究では7研究施設を訪ね19個体を調査した

ミャンマー国内に保存されているナガスクジラ属骨格

保存施設 ID 種名 State Region Township 発見年月日 体長
m(Ft)
頭骨長
cm
標本
Yangon Zoo
Natural History Museum
NHMY1 Balaenptera musculus Rakhaine 不明 1987年1月19日 21.95 (72') 501 交連骨格
Mawlamyaing University MMU2 Balaenptera musculus Mon Paun 2006 192.0 (63') 495 (左)と 496 (右)
下顎骨
全身骨格
Hlawga Fishery Station FDH1 Balaenoptera edeni Rakhaine Kyentali 2017年4月19日 約 278 全身骨格
Hlawga Fishery Station FDH3 Balaenoptera edeni Rakhaine 不明 2007年 約 285 全身骨格
Hlawga Fishery Station FDH6 Balaenoptera edeni Ayeyawadi 不明 不明 約 307.5 全身骨格
Mawlamyaing University MMU1 Balaenoptera edeni Mon Paung 1997年 299 全身骨格
Pathein University PTU1 Balaenoptera edeni Ayeyawadi Ngwe Saung 2015年6月19日 全身骨格
Myeik University MYU1 Balaenoptera edeni Thanintharyi Kawthaung 2004年3月 約174 全身骨格
Hlawga Fishery Station FDH2 Balaenoptera omurai Rakhaine Gwa 2016年 227
右下顎骨
破損頭骨と
一部骨格
Dawei University DWU1 Balaenoptera omurai Thanintharyi Laung-Lone 2005年6月27日 11.1 (36'6") 275.5+ 全身骨格
Ministry of Fishery
Nay Pyi Taw
FDNPT1 Balaenoptera omurai Thanintharyi Bokepyim 2000年 9.45 (31') 約228 交連骨格
Myeik University MYU2 Balaenoptera omurai Thanintharyi Dawei 2007年 約 265 全身骨格
Myeik University MYU3 Balaenoptera omurai Thanintharyi Mergui islands 不明 約 245 頭骨のみ

ミャンマー国内に保存されているナガスクジラ属骨格

これまで知られていた種

種名 個体数 発見地(State / Region)
Balaenptera musculus
シロナガスクジラ
2 Rakhaine / Mon
Balaenoptera edeni
カツオクジラ
6 Rakhaine / Ayeyawadi / Mon / Thanintharyi

本研究で新たに確認された種

種名 個体数 発見地(State / Region)
Balaenoptera omurai
ツノシマクジラ
5 Rakhaine / Thanintharyi

本研究ではツノシマクジラの5個体の存在を確認。ミャンマー海域に於ける初の確認である。

Balaenoptera edeni カツオクジラ 分布確認
Balaenoptera musculus シロナガスクジラ 分布確認
Balaenoptera omurai ツノシマクジラ 分布確認
ツノシマクジラ

カツオクジラとツノシマクジラ

カツオクジラvsツノシマクジラ
カツオクジラ顎
ツノシマクジラ顎
カツオクジラとツノシマクジラ
カツオクジラとツノシマクジラの分布

ミャンマー国内に保存されているナガスクジラ属骨格

ミャンマー国内に保存されているナガスクジラ属骨格で確実に種同定ができた15標本の地域別に見た種の分布

種名 Rakhaine Ayeyawadi Mon Thanintharyi 15
Balaenptera musculus 2 0 1 1 4
Balaenoptera edeni 2 2 1 1 6
Balaenoptera omurai 1 0 0 4 5

北部インド洋東端のベンガル湾・アンダマン海には,従来知られていたシロナガスクジラ,カツオクジラに加えて,ツノシマクジラが分布していることが示された。
これらの種の状況を把握することは種の保全などの基礎データとして重要である。

シロナガスクジラ骨格

シロナガスクジラ骨格01
シロナガスクジラ骨格02

カツオクジラ骨格

カツオクジラ骨格01
カツオクジラ骨格02
カツオクジラ骨格03
カツオクジラ骨格04
カツオクジラ骨格05
カツオクジラ骨格06

ツノシマクジラ骨格

ツノシマクジラ骨格01
ツノシマクジラ骨格02
ツノシマクジラ骨格03
ツノシマクジラ骨格04
ツノシマクジラ骨格05

保存施設

No. 保存施設
1 Yangon Zoo, Natural History Museum
2 Pathein University
3 Mawlamyaing University
4 Dawei University
5 Myeik University
6 Hlawga Fishery Station
7 Ministry of Fishery, Nay Pyi Taw
保存施設