国立科学博物館の常設展示に見るノーベル賞関連展示─ノーベル賞2010!

国立科学博物館の常設展示に見るノーベル賞関連展示─ノーベル賞2010!

元素周期表

本年のノーベル化学賞のテーマの中心となったのは、有機化合物の合成でした。有機化合物の骨格をなす重要な元素である炭素“C”ですが、また、カップリング反応に使用される元素としても、ヨウ素(I)、臭素(Br)、塩素(Cl)、パラジウム(Pd)など・・様々な元素の名前が出てきます。

 上の写真は、なんだかわかりますか?国立科学博物館の地球館地下3階にある元素周期表の一部です。今回の受賞に関連した元素、パラジウムや、ホウ素、炭素の部分です。元素記号と共に単体の実物が展示されていて、元素をより身近に感じてもらえるかもしれません。放射性元素は展示できませんので、そのマークが入っていますが、そのほかの元素の単体はすべて展示されているという世界でも珍しいものです。

薄い炭素膜「グラフェン」~本年のノーベル物理学賞から

グラフェン

本年のノーベル物理学賞でも、炭素に関するテーマで、優れた新素材となる、厚さのとても薄い炭素膜「グラフェン」の作製に成功というものでした。グラフェンは、六角形に結合した炭素原子が平面状に並んだ透明の薄い膜です。原子1つ分の厚さです。カーボンナノチューブやフラーレンはグラフェンを筒状やサッカーボール状にした構造をしています

グラフェンは、大変強い強度を持ちながら、伸縮性があり、電気を銅と同じ程度よく通すすぐれもの。理論的には存在が分かっていたものの、その作り方がわからなかったそうです。2004年ガイム博士とノボセロフ教授は、鉛筆のしんにもなる黒鉛から、どこでも売っている粘着テープを使って薄く引きはがすという、変わっていますが単純な方法で、グラフェンを作ることに成功したのです。このあと、急速にグラフェンについての研究論文が増えました。グラフェンは今後の様々な応用が期待されています。

当館の地球館地下3階の展示フロアには、それぞれの物質の特徴について見ていただけます。基本的に、様々な元素がどのような物で、どういった特徴があるのか、特に重要な元素“炭素”(C)についても、どのような性質を持つ元素なのか、元素周期表や同素体の模型(上の写真)の展示等で、じっくり知ることが出来ます。カーボンナノチューブやフラーレンの分子模型も美しい展示物となっており、本物と見比べながら、間近で見ることが出来ます。

日本人が受賞したノーベル賞に関連した展示~ノーベル化学賞

地球館

写真は、国立科学博物館の常設展示、地球館地下3階の様子です。「宇宙・物質・法則」について展示されているフロアですが、実は、この常設展示の中には、これまでに日本人研究者が受賞したノーベル賞に関連する内容の展示もあります。これらの展示では、物理や化学の基本的な内容から、最近の研究までじっくり見学することが出来ます。
 それでは、日本人研究者がこれまで受賞した、ノーベル賞に関連する展示について、改めて以下に紹介しましょう。

ノーベル化学賞 関連展示

野依良治博士 2001年 ノーベル化学賞

「 キラル触媒による不斉合成反応の研究」に関した展示

関連展示! 地球館地下3階 宇宙・物質・法則「物質を探る」のコーナー
化合物には、分子の形が右手と左手のように鏡に映した関係のものがある場合があります。ハッカの主成分であるメントールはL体とよばれるもので、同じ「メントール」でも鏡に映した形のものはD体とよばれ、ハッカには含まれていません。
この展示では、結晶を用いてL体とD体のにおいの違いを体験出来ます。L体は清涼感のある香りをもち、チューインガムなどの香料として広く使われています。一方、D体は異なります。うまみであるグルタミン酸もL体とD体ではL体だけがうまみを示します。BINAP触媒は、野依良治先生によって開発された触媒で、左右の分子の一方だけを合成することが出来ます。医薬品合成においても重要で、大変役立っています。

白川英樹博士 2000年 ノーベル化学賞

「導電性高分子の発見と開発」に関した展示

関連展示!地球館地下3階 宇宙・物質・法則「物質を探る」のコーナー
導電性高分子「ポリアセチレン」の実物と導電性高分子の応用品が展示されています。

これらの展示を是非じっくり見てみましょう。それぞれの発見の内容と、どのように私たちの生活に関わりがある重要な発見だということが見えてくると思います。
日本人が受賞したノーベル賞に関連した展示~ノーベル物理学賞

日本人が受賞したノーベル賞に関連した展示~ノーベル物理学賞

霧箱

写真の四角い装置。なんだか分かりますか?宇宙線を観察できる装置「霧箱」です。
この展示ように、国立科学博物館常設展示内では、日本人研究者が受賞したノーベル物理学賞に関連した展示も見学することが出来ます。以下に紹介していきましょう。

ノーベル物理学賞  関連展示

小林 誠博士・益川敏英博士 2008年 ノーベル物理学賞

「クオークが自然界に少なくとも三世代以上あることを予言する、対称性の破れの起源の発見」に関連した展示

関連展示!地球館地下3階 宇宙・物質・法則「物質を探る」のコーナー
小林・益川理論を実証した高エネルギー加速器研究機構(KEK)の加速器Bファクトリーの大型写真パネルや、それにつながる加速器関連資料の展示があります。

小柴昌俊博士 2002年 ノーベル物理学賞

「天体物理学、特に宇宙ニュートリノの検出に対するパイオニア的貢献」に関連した展示

関連展示!地球館地下3階 宇宙・物質・法則「宇宙を探る」のコーナー
宇宙について、スーパーカミオカンデの写真とそれに使われる光電子増倍管、そして、宇宙線を観察できる霧箱などの展示があります。

朝永振一郎博士1965年 ノーベル物理学賞 「量子電気力学分野での基礎的研究」
湯川秀樹博士 1949年 ノーベル物理学賞 「中間子の存在の予想」

関連展示!地球館中2階 科学技術の偉人たち -日本の科学者技術者-
これからの日本を担っていく青少年のみなさんに、我が国の科学者・技術者をもっと身近に感じていただけるように、「日本の科学者・技術者展シリーズ」等の企画展で紹介してきた科学者・技術者の肖像(レリーフ)を展示しています。その中で、朝永振一郎博士、湯川秀樹博士を紹介しています。

“ノーベル賞”の話題を一つのきっかけにして、国立科学博物館の常設展示のなかの関連展示をじっくり見学しながら、科学の基本的な内容をじっくり味わってみるのもよいかもしれません。自分にとって「なるほど!」という大きな発見があるかもしれません。

国立科学博物館の展示には、たくさん科学が詰まっています。特に若い世代の方には、その中から興味がもてることを見つけて、そこから自分なりに発展させて行ってみましょう!未来のノーベル賞につながるような発見、活躍となるかもしれません。

参考文献
Newton 2010年12月号
日経サイエンス 2010年12月号
現代化学 2010年12月号
子供の科学 2010年12月号

協力・監修
理工学研究部 若林文高


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