2008-03-01

NEWS展示続報−研究続く鯨類のストランディング (協力:動物研究部 山田格)


謎の多い種:カズハゴンドウ

 カズハゴンドウ(Peponocephala electra)はクジラ目ハクジラ亜目マイルカ科に属する海棲哺乳類です。熱帯・亜熱帯に主に棲息しますが,稀に温暖な温帯に近づいて来ることもあります。外洋を好み,近海で観察できることは一部海域を除いて多くはありません。このため,ストランディングは数少ない観察機会のひとつになっています。
 体長は約2.7メートル,体重は200kgを超えます。約100頭から,多い時には1000頭を超える群れをつくって行動しています。餌はイカ類や小型の魚類です。

 1966年まではマイルカ科カマイルカ属に分類されていましたが,現在ではカズハゴンドウ属として独立した分類になっています。カズハゴンドウ属に属する種はカズハゴンドウだけで,他のどのクジラ・イルカに近い種なのかは不明です。個体数や生活史も良く判っていません。

 外見を見ると,良く似ている種に同じくハクジラ目マイルカ科のユメゴンドウ(Feresa attenuata)があります。ユメゴンドウは体長2.5〜2.7メートル程度,体重は160kg超程度です。
 見分けるポイントは顔,胸びれの形と歯の数です。カズハゴンドウとユメゴンドウの顔を比べると,カズハゴンドウでは上顎の先端が一番前方に出ているのに対し,ユメゴンドウではメロンと呼ばれる,額部分の脂肪組織が前に突き出しています。しかし高齢のカズハゴンドウではユメゴンドウに近い顔つきになっていることもあり,これだけでの判断は容易ではありません。
 胸びれの形は,カズハゴンドウでは先端が尖っていますがユメゴンドウでは丸くなります。
 一番見分けやすいのは歯の数で,カズハゴンドウでは上下それぞれの顎の片側で20〜25本の小さな歯が生えていますが,ユメゴンドウには10〜15本の比較的大きな歯があります。カズハゴンドウの「カズハ」とは漢字で書くと「数歯」,歯の数が多い,という意味なのだそうです。

 同じマイルカ科のハンドウイルカ・オキゴンドウ・シャチなどは人に懐きやすく,水族館の環境にも良く適応しています。
しかしカズハゴンドウについては,ストランディングした個体を治療のために飼育した例が僅かながらありますが,保護した際の傷や病気などがあり,長期飼育には成功していません。残されている数少ない記録によると,気性が荒く懐きにくいようです。