2019-10-10

米国における恐竜絶滅層(K-Pg境界層)の調査


巨大隕石の衝突

地球上におけるK-Pg境界層の分布と特徴(Schulte et al., 2010を簡略化)(図1:左)
衝突石英の顕微鏡写真(佐野、2017)(写真3:右)

恐竜が絶滅した6600万年前の地層は「K-Pg境界層」と名付けられています。K-Pg境界層はメキシコのユカタン半島沖に直径10 km程の巨大隕石が衝突した際に形成されたと提案されています。衝撃により、衝突地点にはチチュルブと呼ばれるクレーターができました(図1)。チチュルブ・クレーターの隣接地点では、数十mもの厚さの津波堆積物が確認できます。そしてクレーターから遠ざかるにつれて隕石衝突によって形成した地層は薄くなっていきます。この隕石衝突の地層には球状粒子(スフェルール)や衝突鉱物が発見されています(図1)。球状粒子とは隕石が衝突した際、地面が融けて周囲へ飛び散り、その後冷えて固まった粒です。衝突鉱物とは、衝突の衝撃により鉱物にスジが入ってしまったもので、石英にスジが入ってしまった衝突石英などが確認されています。(写真3) 
巨大隕石の衝突により恐竜が絶滅したと提案したのは、米国の物理学者であるルイス・アルヴァレズ教授と、彼の息子で地質学者のウォルター・アルヴァレズ教授らです(Alvarez et al., 1980)。ルイス・アルヴァレズ教授はノーベル物理学賞を受賞した研究者としても知られています。