2019-10-10

米国における恐竜絶滅層(K-Pg境界層)の調査


米国ノースダコタ州で恐竜絶滅の原因を探る

米国サウスダコタ州からノースダコタ州への移動中の景色(写真1:左)
K-Pg境界層を調査中の研究者達。左から佐野貴司、石川晃准教授(東工大)、Lyson博士(デンバー自然科学博物館)(写真2:右) 撮影:佐藤峰南博士(千葉工大)

6月下旬、地質調査のために米国へ行ってきました。調査地域はノースダコタ州マーマース(Marmarth)という交通アクセスの悪い場所でした。隣州のサウスダコタのラピッドシティー(Rapid City)まで飛行機で行き、レンタカーで300 kmの移動をする必要がありました。この移動は大草原の中の道路をひたすら突き進むというものでした(写真1)。
調査の目的は「恐竜絶滅の原因を探る」ことでした。科学博物館でおなじみの恐竜やアンモナイトは約2億5千万年前に始まった中生代に繁栄しました。米国西部に広がる中生代の地層には多数の恐竜の化石が埋まっています。しかし、6600万年前よりも若い地層には恐竜の化石は出てきません。つまり、6600万年前に恐竜は絶滅してしまったのです。
国立科学博物館は分野横断的な研究として、平成28年(2016年)から5件の総合研究を実施しています。そのうちの一つは私が研究代表者となっている「化学層序と年代測定に基づく地球史・生命史の解析」という総合研究です。この総合研究のテーマの1つが恐竜絶滅の原因解明です。この研究には、デンバー自然科学博物館のTyler Lyson博士とIan Miller博士に共同研究者として入っていただき、現地案内をお願いしました(写真2)。