2017-03-29

珍奇なツリフネソウをミャンマーで発見!


・珍奇なツリフネソウの新種を発見!

左:ツリフネソウが発見されたビクトリア山は、ミャンマーの西部に位置するアラカン山脈から続くチン丘陵の最高峰である。
右上:新種のツリフネソウImpatiens kingdon-wardii。A:草丈は30-50cmくらい。B:花の拡大。矢印の部分に棍棒状の突起がある。C:花の正面。D: 棍棒状の突起の実体顕微鏡写真。スケールは0.5mm。
右下:ビクトリア山の標高1600mの沢沿いに群生していた。


イギリスのプラントハンター、キングドン・ウォードの調査以来、調査研究に半世紀の空白の時間があったミャンマーのビクトリア山で珍奇なツリフネソウの新種を発見しました。

このツリフネソウは、ピンク色の側萼片が毛の生える円形で、雪洞(ぼんぼり)のようなつぼみをつけます。開花すると2枚の側萼片が左右に花の上に開いた状態になり、マウスの耳のようです。花弁には棍棒状の突起がありますが、何のためなのかはよくわかっていません。今回発見した種は形態的研究から明らかにツリフネソウの一種で、ツリフネソウ亜属Uniflorae 節に属する新種と判明しました。ほかのツリフネソウの花には、このような突起があるものは知られていないようです。

しかし、ビクトリア山を最もよく調査したフランク・キングドン・ウォードがもしかしたらこの植物の標本をすでに採集していたかもしれないと思い、彼の標本を収蔵するロンドンの大英自然史博物館で調査を行いました。するとやはり、1点だけ本種の標本が採集されていましたが、そのラベルには学名はなく、またその後研究された形跡もなく、静かに大英自然史博物館の標本庫に眠っていたようです。そこで、キングドン・ウォード卿に種小名を献名し、この新種をインパティエンス・キングドンウォーディイImpatiens kingdon-wardiiと名付けました。半世紀前に活躍したプラントハンターの名前がついた最新の種になります。

この新種は世界自然保護基金(WWF)の東南アジア大陸部から発見された新種生物の“New Species Report 2015 - Great highlight among the new discoveries”に選ばれ、WWFのホームページでも紹介されています。