2012-02-13

日本にはいったい菌類が何種くらいいるのでしょうか?


日本にはいったい菌類が何種くらいいるのでしょうか?



 菌類は、一言でいえば、きのこ・カビ・酵母のことです。肉眼で直接見ることができる大きさで、特徴的な形も持つ大型なものから、顕微鏡出観察しなければ見えない大きさで、形態の特徴が乏しいものまでを含んで、推定種数は150 万種ともいわれる、巨大な分類群です。

 昨年12月10日にGBIFワークショップ21世紀の生物多様性研究「日本に生き物は何種類いるか」が開催されました。その講演は、日本における菌類の現存数種数にスポットをあてて、日本における菌類種数の推定について発表されました。

 これとほぼ同じ時期、筑波実験植物園で発見された2種類のきのこが日本では未報告の日本新産種と判明し、1月にプレスリリースでも報告されました。

 そこで、今回のホットニュースでは、講演会の内容「日本には菌類が何種くらいいるか」を中心に、菌類の研究の現状について紹介し、また筑波実験植物園での発見について紹介いたします。

◆菌類の特性
 菌類は、サイズがさまざまであるばかりでなく、生態的にもさまざま環境に存在して、動植物と様々な相互関係をもちます。存在がするのがむずかしくない腐朽材や動植物遺体の他に、動物体表・体内(特に昆虫)、生きている植物の体内、水環境(淡水・海水)、糞、などさまざまな環境に存在しているので、それをすべて検知することは極めて難しいことです。また、検出されたものは菌類の栄養体である菌糸であることが多いため、形態的な特徴に乏しく、それを基に同定することは難しい場合が多いのです。このような背景から、菌類の現存種数を推定することが極めて難しいものとなっています。