2011-02-01

300年ぶりに霧島新燃岳が噴火!〜日本の火山の不思議

ページリンク
※この記事は以下のページで構成されています。ご覧ください。
300年ぶりに霧島新燃岳が噴火!
火山噴火の用語解説
日本の火山の現状
科博で火山について考えてみよう

300年ぶりに霧島新燃岳が噴火!

連日報道されている霧島新燃岳の噴火の状況。周辺の町には沢山の火山灰が積もって、さらには避難を余儀なくされている方もいらっしゃるようです。
今回のホットニュースでは、この新燃岳の300年ぶりの噴火について、現状の説明し、これまでの歴史について紹介し、火山の噴火という現象についてより正確に理解するために、火山にまつわる用語の説明、日本列島の火山の特徴について、じっくり紹介します。

・今年1月19日に始まった噴火
新燃岳の下では火山性微動が時々観測されており、2008年夏に小規模な噴火がおこりました.昨年(2010年)の春から夏にかけては小規模な水蒸気爆発やマグマ水蒸気爆発を繰り返したため、大規模な噴火の起こることが危惧されていました。そして1月19日に始まった噴火では断続的に火山灰を放出し、1月27日には火口から上空2000m以上の高さまで噴煙が上がる大規模なマグマ噴火となりました(図1)。火口付近では火砕流も発生しており、風下(南東)にあたる都城市や日南市には多量の火山灰が降り積もっています(図2)。火口付近には多量の噴石が降下しているため、火口から4km以内は入山規制がひかれ、東麓に位置する高原町の一部には避難勧告も出されています。
1月28日、火口内に溶岩ドームが成長していることが確認されました。溶岩ドームは直径600mにも成長し、火口に栓をする形となったため、内部の圧力が高まり、溶岩ドームを吹き飛ばす形で爆発的噴火が起こっているようです。この爆発的噴火による空振により火口から6km以上も離れた場所で窓ガラスが割れるという被害が出ています。


・何年ぶりのできごとでしょうか?噴火の歴史(史料に残っているもの)

■1716-17年: 大規模な活動があったことがわかっています。このときは水蒸気爆発から、マグマ水蒸気爆発、そしてマグマ噴火へと時間の経過とともに活動様式が変化しました。軽石の噴出、ベースサージ、火砕流、泥流が繰り返し発生したことがわかっています。
■1771-72年: 水蒸気ないしマグマ水蒸気爆発に始まり、火砕流を発生させました。降下火砕物によって山火事が発生したと考えられています。
■1822年: 水蒸気ないしマグマ水蒸気爆発に始まり、泥流がたびたび発生しました。軽石を降らせると共に西側斜面に火砕流を起こしたと考えられています。
■1959年:水蒸気爆発が起こり麓に降灰がありました。
■1991年:顕著な火山性地震活動のあと、微噴火しました。
■2008年:水蒸気爆発が起こり麓に降灰がありました。
今回噴出した軽石は1716-17年に噴火したマグマとほぼ同じ化学組成(安山岩質)であったことが明らかになっています。

・そもそも新燃岳とは? 地質学的な基礎情報 霧島火山群
「霧島火山地質図」によれば、霧島火山とは九州南部、鹿児島・宮崎両県の県境付近に位置する第四紀の火山群の総称です。最高峰の韓国岳(からくにだけ)をはじめ、高千穂峰など、20あまりの火山があります。この中で有史後に最も頻繁に活動をしてきた火山が御鉢と新燃岳です。



ページリンク
※この記事は以下のページで構成されています。ご覧ください。
300年ぶりに霧島新燃岳が噴火!
火山噴火の用語解説
日本の火山の現状
科博で火山について考えてみよう