オニヤブソテツ類の繁殖戦略と種分化

トップ基本的4型4型の分布形態的特徴生殖システム無融合性複合体のゲノム分析種分化

オニヤブソテツ無融合性複合体のゲノム分析

無配生殖をする型または種でも胞子を密に播くとリボン状の配偶体となって造精器を作ることがあります。よって造卵器をつける有性生殖型との混生地ではまれに雑種が見つかります。種間雑種や奇数倍数体でも無配生殖が遺伝され非減数性胞子形成によって稔性の比較的高い胞子が作られ、外部形態で分類するのが困難となって無融合性複合体が形成されます。ところで減数性胞子形成も低頻度で行われるので、これを利用してゲノム分析が行えます。

1.自然雑種の発見

調査の結果、4倍体のA1×B、5倍体のC×B、C×D(D:テリハヤブソテツで3倍体無配生殖種)、C×E(E:ヤマヤブソテツで3倍体無配生殖種)、およびC×F(F:メヤブソテツで3倍体無配生殖種)が見つかりました。A1×Bの減数性胞子を播いて育てると有性生殖と無配生殖の配偶体が1:1に分離し1遺伝子で支配されていることがわかります。この無配生殖の配偶体から2倍性半数体無配生殖型(dihaploid, 2x ap.)が得られます。

2.人工雑種の合成

A1×A2とA1×Cでは雌雄の配偶体を作って交配を行い、C×(A1×B)ではCとA1×Bの減数性胞子を混合して播いて合成しました。

3.ゲノム分析

減数性胞子形成の減数分裂で相同染色体の対合によるゲノム分析を行った結果、2倍体のA1、A2と3倍体のB型はAゲノムからできていますが、4倍体のC型はAABBと異質ゲノムからなり、BBゲノムをもつヤブソテツ群との交雑から由来したものと推定されます。

オニヤブソテツ無融合性複合体のゲノム分析

A1、A2、B、C : オニヤブソテツの細胞学的型
D : テリハヤブソテツ(3倍体無配生殖種)
E : ヤマヤブソテツ(3倍体無配生殖種)
F : メヤブソテツ(3倍体無配生殖種)
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