日本の生物多様性ホットスポットの構造に関する研究(Biological Properties of Biodiversity Hotspots in Japan)

「多様性ホットスポット日本」の生き物たち

代表的な日本固有種、国内の多様性ホットスポットに生息する種、日本を分布の中心とする種など、「多様性ホットスポット日本」の重要な構成要素と考えられる生物を、プロジェクトに参加している様々な分類群が専門の研究者たちが紹介します。

リュウキュウアユ

アユ科

Plecoglossus altivelis ryukyuensis Nishida

動物界-脊索動物門-条鰭綱-サケ目

写真:田代 郷国(鹿児島大学)

リュウキュウアユはアユ(Plecoglossus altivelis altivelis)の別亜種であり、分布域が奄美大島および沖縄本島に限られる(アユの分布の南限は屋久島)。産卵期は11月下旬~3月上旬とされ、それまで生息していた河川中流域から感潮域まで流下して産卵を行う。孵化仔魚は海に流下し、体長が3cm程度になるまで内湾域で過ごす。その後、河川に遡上する。  本種の沖縄本島の個体群は、開発などの影響で1978年の記録を最後に絶滅した。後に奄美大島の個体が沖縄本島のダム湖に移植され、陸封個体群として定着している。本種の主たる生息域である奄美大島では、台風災害や渇水などの影響で個体数の変動が激しく、さらに河川改修や道路整備などによる生息環境の悪化により、個体数の減少が懸念されている。(動物研究部・中江 雅典)

分布 日本固有亜種(奄美大島・沖縄本島[奄美大島産の再導入個体])
絶滅危惧(環境省) 絶滅危惧IA類(CR) 絶滅危惧(IUCN) 情報不足

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