日本の生物多様性ホットスポットの構造に関する研究(Biological Properties of Biodiversity Hotspots in Japan)

「多様性ホットスポット日本」の生き物たち

代表的な日本固有種、国内の多様性ホットスポットに生息する種、日本を分布の中心とする種など、「多様性ホットスポット日本」の重要な構成要素と考えられる生物を、プロジェクトに参加している様々な分類群が専門の研究者たちが紹介します。

ブナノシロヒナノチャワンタケ

ヒナノチャワンタケ科

Dasyscyphella longistipitata Hosoya

菌界-担子菌門-盤菌綱-チャワンタケ目

春にブナの殻斗に発生する。長い柄の上に直径数ミリの円盤状のかさをもつ子嚢菌類の一種。本種は、長い間きのこ図鑑に「シロヒナノチャワンタケ」Lachnum virgineumとして載っていたため、この種と混同されていた(最近は改訂されている)。しかし、シロヒナノチャワンタケに比べて明らかに大型で長い柄を持った子嚢盤(きのこ)を作るうえ、子嚢・側糸・毛などの重要な顕微鏡的構造に明瞭な差があり、識別される。本種はブナ(日本固有種)の殻斗に特異性があり、他の基質からは見出されない。また、イヌブナやヨーロッパブナなどの上にも発生しない。欧米に類似種は存在しないことから、2001年新種として記載され、現在のところ、日本固有種と判断される。日本各地のブナ林に普通にみられることから、希少性はなく、絶滅可能性も低い。(植物研究部・細矢 )

分布 おそらくブナの分布と一致。(現在、東北から九州までの分布を確認)
絶滅危惧(環境省) 絶滅危惧(IUCN)

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