日本の生物多様性ホットスポットの構造に関する研究(Biological Properties of Biodiversity Hotspots in Japan)

「多様性ホットスポット日本」の生き物たち

代表的な日本固有種、国内の多様性ホットスポットに生息する種、日本を分布の中心とする種など、「多様性ホットスポット日本」の重要な構成要素と考えられる生物を、プロジェクトに参加している様々な分類群が専門の研究者たちが紹介します。

カサガイ

ヨメガカサ科

Cellana mazatlandica (Sowerby)

動物界-軟体動物門-腹足綱-カサガイ目

カサガイ(ヨメガカサ科)

小笠原諸島からは10種以上の固有海産貝類が知られているが、カサガイはそれを代表する種である。大型のカサガイ類で、かつては波当たりの強い海岸の潮間帯上部に普通に見られた。しかし、食用として利用されたことなどにより個体数が減少し、日本の海産貝類の中では唯一天然記念物に指定されている。

本種は新種記載された際に産地の誤りによって、メキシコのマサトラン産とされ、学名もそれにちなむ。そのほか、オーストラリアやチリなど、様々な誤った産地から報告されているが、1890年に小笠原の個体が再発見されて、正しい産地が確定した。 近年の分子系統学的解析により、本種に最も近縁なのは、日本列島の温帯域に分布するベッコウガサであることが分かっている。およそ400万年前に遺伝的に孤立し、独自の種に分化したとされる。(動物研究部・長谷川 和範)

分布 日本固有種(小笠原諸島)
絶滅危惧(環境省) 絶滅危惧(IUCN)

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