日本の生物多様性ホットスポットの構造に関する研究(Biological Properties of Biodiversity Hotspots in Japan)

「多様性ホットスポット日本」の生き物たち

代表的な日本固有種、国内の多様性ホットスポットに生息する種、日本を分布の中心とする種など、「多様性ホットスポット日本」の重要な構成要素と考えられる生物を、プロジェクトに参加している様々な分類群が専門の研究者たちが紹介します。

オゼソウ

サクライソウ科

Japonolirion osense Nakai

植物界-維管束植物門-モクレン綱-サクライソウ目-サクライソウ科

オゼソウ(サクライソウ科)

オゼソウは日本にしか分布していない数多い植物の中でもとりわけ、分布している地域が狭い。1カ所はその名前の通り、尾瀬であり、その一角にそびえる至仏山で発見され、命名された。それに次いで、群馬県の谷川岳で採集された。その後、遠く離れた北海道の天塩山地でも発見された。しかし、日本はもとより、世界でも自生地はこの3カ所のみで、他ではまったく知られていない。いずれも超塩基性(アルカリ性)の蛇紋岩と呼ばれる岩が露出しているところだ。天塩山地のものは当初、テシオソウとして区別されていたが、現在はオゼソウと同じ種とみなす見解があり、そうだとするとオゼソウ属はこの種のみからなる単型属(ただ1種で形成されている属)だ。オゼソウ属は長い間、ユリ科とされてきたが、近年、分子系統学的手法によって、サクライソウ属の植物と近縁であることがわかり、この2属からなるサクライソウ科に分類されるようになった。(植物研究部・岩科 司)

分布 日本固有種(北海道天塩山地、群馬県至仏山・谷川岳)
絶滅危惧(環境省) 絶滅危惧II類(VU) 絶滅危惧(IUCN)

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