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東京帝國大学航空研究所資料

 航空研究所は、航空分野の基礎研究促進を掲げて、当時東京帝国大学総長山川健次郎、田中館愛橘、横田成年らによって文部省に設立案が提出されましたが、関東大震災などで実際の活動は1930(昭和5)年に駒場(現在の東京大学先端科学技術研究所)に施設が完成してからでした。駒場航空研究所完成時の所長は斯波忠三郎があたり、研究部は物理部、化学部、冶金部、材料部、風洞部、発動機部、飛行機部、測器部、航空心理部、中央工場にわかれ、物理部には寺田寅彦、冶金部には本多光太郎も所員として参加しており、まさに日本の頭脳の粋を集めた研究所でした。
 国立科学博物館に移管された東京帝国大学航空研究所資料には、旧航空研究所で行われていた種々の設計データや、設計図面、参考としたエンジンなどの分解図面等など、当時わが国の最先端の航空技術を伺い知ることのできる貴重なものが多く含まれています。特に、本資料中の中心的なものが、この東京帝国大学航空研究所で当初より世界記録樹立を目的に設計、製作された航研機(航空研究所長距離機~Koken Long Range Mono-plane)の資料です。
 本来、基礎的な研究を行う目的で設立された航空研究所で、航研機のような実際の飛行機を製作することには、反対意見もありましたが、斯波所長に代わった和田小六所長のもと、田中敬吉、小川太一郎らを中心として、計画は1933(昭和8)年頃から具体的に進められ、1937(昭和12)年春には、苦労の末、羽田での試験飛行にこぎつけ、種々の改修、改良を経て、翌1938(昭和13)年5月13日、主操縦士藤田雄蔵少佐、副操縦士高橋福次郎曹長、機関士関根近吉技手の3人の搭乗員によって、航研機の記録飛行が行われました。当時国際航空連盟が公認した世界記録には、速度、高度、周回距離、直線距離があり、航研機は13日から15日にかけて、無着陸周回航続距離世界記録と、10000kmコース平均速度国際記録の2つの記録を樹立しました。1910(明治43)年に徳川、日野両大尉が飛行機による初飛行に成功してから今日まで、日本唯一の飛行機公認世界記録を樹立したのが航研機なのです。

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