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日本航空機製造 YS-11輸送機

 1952(昭和27)年、戦後から続いていた「航空機の製造禁止令」が講和条約締結によって解除となり、「航空機製造法」が施行、日本における航空機の自主開発、製造が再開されました。日本の航空機開発は、戦前に高い評価を受けるものでしたが、戦後、再開までの7年間ほどで、世界の航空機の性能は飛躍的な発達を遂げていました。例えば、戦前主流であったレシプロ・エンジン からジェット・エンジンへの転換などで、彼我のギャップは相当に大きなものとなっていたのです。
 そこで1957(昭和32)年、政府と航空機製造各社は、産官学の総力を挙げて我が国独自の民間輸送機の開発製造を行うこととし、輸送機設計研究会を設立しました。輸送機設計研究会は、世界市場の航空輸送の状況や需要を調査し、輸送機設計の基礎研究を行い、座席数60席程度の滑走距離1200m未満の双発プロペラ中距離機の開発を計画、製造することとしました。ちなみにYS-11の機体名は輸送機のY、設計のS、機体の1号、エンジンの1号を組み合わせています。  YS-11以後の我が国輸送機などの開発製造は、主に欧米諸国との輸送機協同開発が主流となっています。すなわちYS-11は現在まで、戦後我が国唯一の独自国産輸送機製造事業によって製造された飛行機なのです。種々の事情により、その製造は1973(昭和48)年、180機をもって終了していますが、YS-11がその後の我が国の航空産業のレベルアップに大きく寄与したものであることは間違いありません。
 1999(平成11)年に、運輸省航空局より国立科学博物館に移管された本YS-11機は、YS-11量産初号機であり、我が国航空機製造事業の期待を一身に受けた栄えある量産1号機(製造番号2003)として、機体登録番号もJA8610(1965[昭和40]年3月取得)と全YS-11機中一番若い登録番号を与えられ、1964(昭和39)年10月12日に初飛行し、1965(昭和40)年に運輸省航空局に引き渡されたものです。以後、「ちよだ11」と命名され、飛行検査用として現在まで2万時間を超える飛行実績を持ち、YS-11最古の機体のひとつであり、YS-11のなかでも特に記念碑的価値の高い機体なのです。

諸元
製作:日本航空機製造(株)
エンジン:ロールスロイス・ダートMK542-10J2680shpX2(ターボプロップ双発)
座席:60~64
全長:26.3m
全幅:32m
最大速度:459km/h
航続距離:1280km
離着陸滑走距離:約1100m

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