2014-01-28

北陸で発見された縄文前期の大遺跡 ―小竹貝塚―


小竹人骨からわかったこと

 小竹貝塚から出土した人骨の年齢構成は、「青年期」の個体が全体の18.5%を占め、「胎児」や「周産期」も全体の9.9%でした。現代と比べると、厳しい環境に置かれていたと推測されます。また、身長推定が可能であった個体のなかで、6個体の男性は推定身長が165p以上でした。縄文時代後・晩期人男性の平均推定身長である158pと比較すると、かなり大柄な人たちもいたと言えます。

 ミトコンドリアDNAの分析では、南方系の型を示す個体と北方系の型を示す個体が混在しており、縄文前期ですでに縄文時代人を特徴づけるDNA型が認められることが明らかとなりました。

 骨から何を食べていたのか分析する食性分析では、小竹貝塚の人たちは陸上生態系と海洋生態系の双方の食べ物を摂取していたこと、そして個体間の食生活の違いが、とくに男性で大きいことが明らかになりました。

 小竹貝塚に埋葬されていた人たちは、他地域・他時代の縄文時代の人たちとの関係性を示しつつも、様々な人たちが集まっていたと言えます。これは、単純に個体数が多かったためである可能性も否定できませんが、遺物の状況と合わせて考えると、多くの人びとが行き来する場所であった可能性も示唆しています。いずれにせよ、小竹貝塚人骨は縄文時代の人たちを語る上で欠くことのできない重要な資料であることは間違いありません。

 科博日本館2階には、埼玉県「妙音寺洞穴遺跡」から出土した縄文時代早期人の全身骨格と岩手県「蝦島貝塚遺跡」から出土した縄文時代後晩期人の全身骨格が展示されています。両者の間を埋めるのが今回ご紹介した小竹貝塚から出土した人たちです。縄文時代の1万年以上続いた時間の流れを想像しつつ、ヒトの体も変化していることに興味をお持ち頂ければ幸いです。





小竹貝塚出土人骨の頭骨 



<執筆・監修> 国立科学博物館 人類研究部 坂上和弘 研究主幹