2010-03-15

チリの大地震と津波警報 (協力:地学研究部 横山一己)


津波Q and A

普通の『波』と『津波』はどう違う?
 「海上の波の高さは1メートル(※3)…」テレビの天気予報でよく聞くこの台詞。この予報を聞いて,皆さんはどう思いますか?大きな波が来る,と思いますか?海水浴に向いているとはあまり言えないかも知れません。しかし,直ぐに高台に避難しなければ!と警戒する人はまずいないでしょう。
 特に津波と断りのない場合,天気予報などでいう波とは波浪のことです。波浪は風によって海面付近の水が波立つ現象のことで,波長は津波よりずっと短く,数メートルから長くても数百メートルに留まります。表面付近の水だけが動くこと,波長が短いことから,ひとつひとつの波のエネルギーはそれほど大きくなりません。
 津波の場合海底から海面までの広い範囲でエネルギーが伝わり,波長が長いため1つの波の山が運んで来る水の量が波浪とは桁違いに大きくなります。波というより水の塊が押し寄せて来ると言った方が良いかも知れません。

 とは言え,波高が高くなれば勿論波浪にも危険はあります。干渉などの影響で稀に予報より遥かに高い波ができたり,波が沖へと戻る流れが強くなり,水難事故の原因になることもあります。
 例えば東京23区なら1.5メートルで波浪注意報,3メートルで波浪警報が出されます。不用意に海岸に近づいたり,海に入ったりしないようにしてください。

低気圧の時に起こる『高潮』との違いは?
 高潮は別名風津波とも呼ばれるため,時として誤解を招きますが,発生のメカニズムも被害の形も,全く異なる災害です。
 高潮は台風など低気圧の際,気圧の低下に伴って海面が上昇する現象のことです。
 低気圧とはその名の通り,周囲に比べて気圧が低い状態のため,周囲から空気や風,真下に海面があれば海水をも引き寄せています。海面を吸い上げる効果は,気圧が1ヘクトパスカル低下するごとにおよそ1センチ程度です(気象庁HP)。
 海面が持ち上がる上に,低気圧に伴う風で生じた波浪も加わり,沿岸での浸水などの被害に繋がります。

※3 天気予報などで報じられている波浪の高さは有義波高といい,連続した波の波高のうち高い方から3分の1の個数の波の平均をとっています。目で見た場合の印象に近い数値が得られますが,これ以上高い波が来ないという意味ではありません。同じ場所で波高を観測し続けた場合,100個に1個は予報値の1.6倍,1000個に1個は予報値の2倍近い高さの波が来る可能性があります(気象庁HP)。