2007-12-15

遅くなった紅葉 (協力:附属自然教育園 萩原信介)


関東地方全域で遅れ:記録更新も

 「今年の紅葉は遅くなりそうだ」秋が近づくとこんなことばをよく聞くようになりました。
 気象庁が例年9月末頃に紅葉の見ごろ予報を発表していますが,平成19年の関東地方の紅葉の見ごろは「全般的に遅いかやや遅い(※1)」,18年度は「平年並みかやや遅い」,17年度,16年度も「遅い」,15年度は「北部では平年並み,南部ではやや遅い」でした。

 実際の紅葉の開始日を見てみると,東京でのイチョウの「黄葉」は平年値より6日遅れて11月25日,カエデの「紅葉」は平年より2日早い,11 月26日でした。また全国の気象台が行なっている観測の結果をまとめると,関東一都六県ではイチョウは全地点で遅れ,カエデでは12月15日現在で発表されている6地点のうち,東京・横浜を除く宇都宮・水戸・熊谷・前橋で遅れ,特に宇都宮では観測開始以降最も遅い日付となりました


 一般に紅葉は気温が低いと早くなり,気温が高ければ遅くなります。特に関東地方については,紅葉の開始日と9月の平均気温に高い相関があることが知られており,今年の予報が「遅いまたはやや遅い」と発表されたのも,今年9月の平均気温が平年よりかなり高かったためです。
 長い目で見てみると,この傾向は更に顕著になります。2005年に気象庁が発表した「異常気象レポート2005」では,ここ50年でカエデの「紅葉」が15日以上遅くなったことが示されており,秋の気温の長期的な上昇の影響のひとつと考えられています。

 植物にとって紅葉は,古くなった葉を落葉させる準備です。紅葉が遅れるとその分,エネルギー生産器官である葉を長い間使うことができます。その結果イロハモミジ(イロハカエデ)など,比較的暑さに強い種では生育に有利になります。より寒い地方を原産とする種でも葉が長く使えるメリットはありますが,イロハモミジなどと比べると受ける恩恵が小さいため,競争に負け衰退に向かってしまったものもあります。


※ 紅葉ということばは,秋に落葉樹の葉の色が変わる現象を意味していますが,その中でも特に葉の色が赤に変わる場合を「紅葉」,黄に変わる場合「黄葉」と呼んで区別することもあります。ここでは第1の意味で言う場合には紅葉と,また第2の意味で言う場合には「」をつけて「紅葉」と記しています。
※1 気象庁発表では,紅葉の見ごろが例年と比べて10日以上遅れる場合が「遅い」,5日以上送れる場合が「やや遅い」とされています。

グラフ:カエデ紅葉と気温の関係
気象庁ホームページ「異常気象レポート2005」より引用

より詳しく知りたい人のために
気象庁