2015-07-15
“第4の原人”化石を台湾で発見
意外な年代
写真:澎湖人の下顎骨化石。
形態から北京原人やジャワ原人とは異質とわかっても、年代が決まらなければそれ以上の解釈ができません。もし澎湖人が80万年前より古いなら、その頑丈な形態はその年代に見合った原始的なものと説明できますが、それほど古くなければ別のシナリオを考える必要が出てきます。
海の底から漁船の網で引き上げられた化石ですから、埋まっていた地層などの情報はありません。そのため年代推定は困難を極めました。それでもお茶の水女子大学の松浦秀治教授やオーストラリア国立大学のライナー・グルン教授、それから科博の横山一巳地学研究部長(当時)に協力してもらい、高井教授や張博士が素晴らしいアイディアを出して年代を絞り込んでいくことに成功しました。
骨に含まれるフッ素やナトリウムの量の分析から、澎湖人の化石の年代は、澎湖の動物相に含まれるブチハイエナとほぼ同じということがわかりました。このハイエナの種は、中国南部で20万年前以降に出現することがわかっているため、澎湖人の年代もそれくらいである可能性が高いということになります。中国北部では50〜25万年前にブチハイエナが出現するらしいので、実際にはもう少し古くなる可能性がありますが、いずれにしても80〜75万年前よりはずっと新しいということになります。