2010-06-15
渋川春海 ― 紙張子製地球儀・天球儀を作った江戸の天文学者
渋川春海が本当に見たこと --- 紙張子製地球儀・天球儀
渋川春海は、多くの暦書、天文書また、「天文成象図」等を著して、さらに、地球儀、天球儀なども製作しています。
地球儀とは、地表面の様子を球体の上に描いて表現したもので、本来球体である地球上の位置関係、水陸の分布、経線・緯線などを正しく示すことが出来ます。日本での地球儀は、江戸時代以前では、天正年間に織田信長が所有していたこと、また、天正19年に遣欧使節が持ち帰って、豊臣秀吉に献上したことが知られています。
また、天球儀とは、天に見える星の位置を球面に書き記し天球をかたどったもので、星図の一種と言えます。球面上には恒星や星座の位置の他に、赤道や黄道、南北の両極やその他の経緯線が記入されて、天文学についての考察や教育を目的として用いられてきました。天球儀の歴史は古く、西洋、東洋共に紀元前後ころから製作されていたようです。
天の動きを知り、暦を理解することは、幕府を初め、重要な教養のひとつとされていました。藩校や私塾などでは、天文学も盛んに教えられ、授業では教材として地球儀や天球儀が使われることもあったようです。
国立科学博物館では、渋川春海作の紙張子地球儀・天球儀を所蔵しています。具体的に、紙張子製地球儀・天球儀、それぞれどのようなものか、(上記の解説を)見てみましょう。今から300年以上も前に、渋川春海は、地球儀や天球儀を作成しながら、どのような世界・宇宙・未来をイメージしていたのでしょうか。
監修/協力 国立科学博物館 理工学研究部 西城惠一
参考文献
論文:西城惠一(2000)「国立科学博物館所蔵の渋川春海作江戸時代天球儀」Bull.Nat.Sci.Mus.,Ser.E,Vol.23,pp.1-25.
論文:西城惠一(2001)「渋川春海作江戸時代地球儀とその復元模型製作」Bull.Nat.Sci.Mus.,Ser.E,Vol.24,pp.13-24.