2010-09-24

海に棲んでいる哺乳類たちについて知ろう!“海棲哺乳類の多様性―東アジア沿岸域の現状―”


海に棲んでいる哺乳類たちについて知ろう!---海棲哺乳類の多様性 東アジア沿岸域の現状

今年2010年は国際連合が定めた「国際生物多様性年」です。様々なところで、“生物多様性”という言葉を聞きますね。来月10月には、名古屋市で生物多様性条約の第10回締約会議(COP10)が開催されます。
「COP(Conference of the Parties)」とは、国際条約を結んだ国の関係者が条約の内容について議論し,方針を定めていく会議(締約国会議)のことです。多様な生き物や生息環境を守って、その恵みを将来にわたって分け合っていくために結ばれた生物多様性条約の「COP10」(10回目の締約国会議)には様々な国から約8000人もの人々が参加するということです。

今年は、国立科学博物館でも、生物多様性をメインテーマとして、春から特別展「大哺乳類展―陸のなかまたち」、そして企画展「日本の生物多様性とその保全」を開催しました。そして、「大哺乳類展」の第二部として、イルカ、クジラ、ジュゴン、マナティ、オットセイやアザラシなど、海棲哺乳類を紹介する特別展「大哺哺乳類展―海のなかまたち」(2010年7月10日(土)〜9月26日(日))を開催しています。

8月28日には特別展「海のなかまたち」の関連イベントとして、国際シンポジウム「海棲哺乳類の多様性」(主催:国立科学博物館、後援:文部科学省、環境省、朝日新聞社・TBS、国際自然保護連合・日本哺乳類学会、日本動物園水族館協会、日本セトロジー研究会)が開催されました。このシンポジウムでは、特に東アジアの沿岸性の海棲哺乳類に着目して、第一線で研究されている研究者たちが集合し、現在の研究の状況について報告と、これからについての議論が行われました。東アジアの沿岸性の水域には、スナメリやコククジラなどの鯨類、ゴマフアザラシやトドなどの鰭脚(ききゃく)類、そして、この地域では唯一の海牛類であるジュゴンなどが生息しています。沿岸部は、身近であると同時に私たちの社会活動の影響を最も受けやすい場所でもあります。

今回のホットニュースでは、2010年8月28日に一般向けに開催されたシンポジウムの内容で、我が国とアジアの国々での海棲哺乳類の現状と共生についての講演内容を紹介します。海で暮らす哺乳類のなかまたちについて、かれらの現状に関する研究の成果とこれからの課題について紹介したいと思います。