2007-12-01

恐竜化石の発見相次ぐ (協力:地学研究部 真鍋真・加瀬友喜)

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日本産恐竜・発見ラッシュ!

 2007年6月,和歌山県有田郡湯浅町の白亜紀前期の地層から恐竜の歯の化石が発見され,この11月,各紙に発表されました。高さ26.0mm,幅11.8mmの歯1本で,ナイフのような形をしており,縁にはのこぎりのようなぎざぎざがついていることから,肉食の獣脚類(※1)の歯と考えられています。
 肉食恐竜の歯は顎の先端,中ほど,奥など生えていた位置によって形や大きさが異なります。その為,1本の歯からどの恐竜のものかを推定することは非常に困難です。しかし,大きさから全長が約3.2〜4.2m,体重は約80〜150kg程度の,中型の肉食恐竜のものであったと推定されます。
この歯の化石は,和歌山県では初めて発見された恐竜化石です。日本で恐竜の化石が発見された都道府県はこれで1道15県になりました。


 この数年,日本各地で恐竜の発見が相次いでいます。2006年に兵庫県丹波市で発見されたティタノサウルスの仲間と思われる竜脚類(通称「タンバリュウ」)は,これまでに頭骨の一部や複数の尾椎,血道弓(※2)が発見されています。何点かの骨は関節したまま発見され,その他の骨も生きていた時に近い位置関係で並んでいるものが多かったことから,今後全身の骨格が完全な形で発見されるかもしれない,という期待も大きくなっています。
 また2007年には7月に福井県勝山市で,未だ種類は特定されていないながら竜脚類のものと推定される上腕骨が,10月には熊本県御船町で,草食恐竜ハドロサウルス類のものとみられる頭骨が発見されたという発表がありました。
 国立科学博物館では,当館が所蔵する標本のデータや文献情報などを提供して,日本の恐竜研究に協力しています


※1 三畳紀後期に出現し,白亜紀末まで繁栄した恐竜の分類の総称です。2足で歩行し,大部分は肉食だったため肉食恐竜とも呼ばれますが、近年、植物食のものもいたことがわかりました。ティラノサウルスのような大型のもの,ヴェロキラプトルなど敏捷で高い知能を持っていたと考えられているものを含んでおり,近年では獣脚類の中の1グループが,鳥類に進化したとの仮説が有力になっています。
※2 尾椎の下にあって血管を保護する細長い骨です。ティラノサウルスの場合は血道弓の形などで性別が判るという説もありますが,現生種でも血道弓に雌雄差が現れないものもいるため,定かではありません。


図:2007年11月時点での日本国内の恐竜化石産出地点。
(「モシリュウ」・イグアノドン類の歯は日本館に展示しています。詳しくは次ページ「日本の恐竜発見史@」をご参照下さい)

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