2008-06-01

ダイトウウグイスの巣と卵の発見・撮影に成功 (協力:附属自然教育園 濱尾章二)


これまでに判ったダイトウウグイスの生態

 今回喜界島で発見されたのはダイトウウグイスの既に使われなくなった古巣3個を含む9個の巣です。発見場所は林の縁や畑の脇の藪(※3)です。飛散した種子から生育した牧草の一種が高く成長して込み入った藪で,倒れた草は絡み合って毛布のようになっていました。巣は植物の茎や分枝した所に掛けられており,地面までの距離はおよそ1メートルですが,巣のすぐ下まで草の毛布が届いていました。
 
 巣を訪れる親鳥や,一帯に生息している個体を許可に基づいて捕獲したところ,オス10羽,メス5羽の計15羽が確認できました。見た目は北海道から九州に生息するウグイスや,これまで南西諸島で知られていた別の亜種(詳細次項)と比較して羽の赤褐色味が強く,翼があまり尖らず丸みを帯びているなど,先に紹介した梶田氏らの論文で指摘されたのと同様の,ダイトウウグイスの特徴を確認することができました。捕獲した個体は測定後,個体を識別するための足輪をつけて放鳥しました。

 ひとつの巣あたり卵の数は4個から5個で,既に孵化した巣もありました。子育ての様子をビデオに録画してみたところ,卵を抱いたり,ヒナに餌を持ち帰ったりしているのはメス親だけであることが判りました。
 それぞれの巣同士の距離は比較的近く,1羽のオスのなわばりで複数のメスが営巣していた例もありました。鳥類では珍しい一夫多妻の可能性があります。

※3 ダイトウウグイスを含めてウグイスは警戒心が強く,深い藪を好んで開けた場所にはなかなか姿を現しません。密集した草,また喜界島以外の生息地(沖縄本島など)ではハブの危険もあり,巣の捜索・鳥の追跡を困難にしています。

写真:ダイトウウグイスの巣とヒナ (撮影 濱尾章二)