動物の顔の特徴

 ニホンザル

 食虫類といわれるネズミくらいの大きさの哺乳動物から霊長類すなわちサルが進化してきたと考えられている。最古のサルに関してはいろいろな議論があるが、現在のところ、暁新世後期、約6000万年前のアルティアトラシウスか、始新世初期、約5500万年前のドンルセリア、カンティウス、テイヤールディナ、ステイニウスなどが候補として挙げられている。
 霊長類の形態的特徴の多くは樹上生活と関係している。樹上生活の採用によって起きた最大の顔面変化は、それまで比較的側方にあった目が正中方向に移動し完全に前面に並んだことであろう。これによって立体視が完璧になった。また、枝や果実など物をつかむ能力も発達し、脳が大型化した。逆に、鼻腔は縮小し嗅覚が鈍化するとともに顎や歯も縮小した。サルの例ときしてニホンザルの顔を示すが、イヌと比較すれば、これらの特徴の違いがよくわかるであろう。


展示頭骨標本(獨協医科大学蔵)


顔(イラスト・石井礼子)


生態(写真提供・学研イメージネットワーク)