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自然史系標本とは?

一般に標本とは、私たちが知識・情報を得ようとしている対象の全体から、一部分を抽出したもののことで、自然史分野では採集した個体もしくはその一部を、保存可能な状態に加工したものを指します。自然史研究では、動物・植物はもちろん化石や岩石・鉱物など自然界に存在するあらゆるものを対象としています。これらの対象物は、空間的および時間的に異なる様相を示すため(同じ種類でも、異なる場所・時間に採集されたものは同じではない)、ただ収集して保存すればよいというわけではなく、いつどこで採集されたのかという「採集データ」が重要となります。これを失うと、採集物の客観的な性質を把握できず、標本の価値が下がってしまいます。

標本の役割と重要性

自然史研究において、標本にはそのまま研究材料としての役割があります。しかし、材料としてだけではなく、種または種類のタイプ標本(模式標本)として同定の拠り所となったり、対象物の分布や調査結果の証拠ともなります。すなわち標本には、研究結果を保証する証拠としての重要な役割(証拠標本:Voucher specimen)があります。また個体変異や成長によっても変化が生じるため、単一の標本のみでは全体を知ることができません。そのため標本を多く集めることにより、その多様性変化の証拠となり、その分布や環境、さらに時代によるそれらの変化についても知ることができるようになります。他にも標本は、博物館の展示や教育・普及活動などにも活用されます。

標本の種類

標本には、その対象物ごとに適したさまざまな保存方法があります。たとえば植物では形を残すために紙に挟み乾燥させた「押し葉標本」、昆虫では足や翅を広げたり、三角紙に包んで乾燥させる「乾燥標本」、魚類や頭足類などはホルマリンやアルコールなどの固定液に浸けた「液浸標本」、哺乳類では「毛皮標本」・「剥製標本」・「骨格標本」、微生物ではプレパラートに封入固定する場合もあります。
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