植物研究部

 植物研究部では、分子系統・形態・遺伝子・化学成分解析などによって、種子植物、シダ植物、コケ植物、藻類、菌類など様々な生物の多様性、系統および進化を明らかにするため3つの研究グループが研究を行っています。そのために、国内および世界各地で対象生物の収集調査も実施しています。
その他、他研究部と横断的に取り組んでいる総合研究や特定のテーマに焦点をあてた研究をおこなっています。
詳しくは、総合研究をご覧ください。

グループ構成
陸上植物研究グループ [種子植物・シダ植物・コケ植物]

 現生の生物の中で繁栄し多様化しているグループである種子植物、シダ植物、コケ植物を研究対象としています。これらの進化と多様性を明らかにするため、形態レベルから分子レベルまで多彩な研究を行っています。本研究グループは他のグループと共同して、日本の生物多様性の空間的分布と歴史的背景、生物多様性を特徴づける固有生物の進化についても研究しています。


ナンジャモンジャゴケ
(コケ植物)


ミャンマーでの植物調査

菌類・藻類研究グループ [藻類・菌類・地衣類・変形菌類]

 藻類(海藻などの大型藻類・顕微鏡レベルの微小藻類)、地衣類(菌と藻の共生体)、菌類(キノコ、カビなど)、及び変形菌類(アメーバの仲間)を研究対象としています。これらの生物群は多くの未知種を含み、その数は数百万にものぼると推定されるほどです。これらの実体を明らかにするため、分子系統解析、形態観察、生育調査、化学成分解析といった幅広い手法による研究を行っています。


ロクショウグサレキンの仲間


スズキケイソウ
(琵琶湖の固有珪藻種)

多様性解析・保全グループ [植物全般]

 筑波実験植物園の研究員を兼任し、植物を収集し育成管理しながら、生きた植物の長所を生かして適応形態、遺伝子、染色体、二次代謝成分を解析しています。それにより、個々の生育環境や他生物とのかかわりの下で進化してきた植物のありようを明らかにする研究を行っています。
筑波実験植物園HPはこちら


ヒマラヤの青いケシ
Meconopsis bella
その花色発現の仕組みは複雑である


ラン科植物コレクション

植物研究部の標本

標本室
標本室

筑波研究施設には、筑波実験植物園(一般に公開)と標本庫(一般には非公開)があり、国内外の研究者に利用されています。標本は分類群ごとに保管され、維管束植物標本庫には、種子植物とシダ植物約120万点の押し葉標本を、コケ植物標本庫には約21万7千点の標本を収蔵しています。大型藻類は約10万点を数えます。微細藻類の多くは、多種が混在した液浸状態で保管され、世界各地から採集された標本は4700点にのぼります。菌類は約15万点、地衣類は約25万点、変形菌は約7万4千点の標本を収集保管しています。これらの植物標本の適切な管理とさらなる活用を図るため、データベース化が進められています。

●当館の発行するエキシカータ(交換標本)