「アントロポシーン」(Anthropocene, 人の時代)とは、人類の活動が、数百万年という時間が経過した後においても地球規模で観測しうるような痕跡を残すようになった時代、またそのことを意識すべき時代、という意味で使われつつある言葉である。 

本シンポジウムは、アントロポシーンをキーワードに、散在する知見を統合的に論議し、自然史と人間の活動の歴史(特に産業史・科学技術史等)を総体的に見通すための博物館的フレームワークの構築を試みるものである。アントロポシーンという概念はどのような広がりを持ちうるのか、アントロポシーンを象徴するモノとは何か、アントロポシーンを収集・展示するとはどのようなことか、といった問題が扱われる。

人間の活動は自然環境に影響され、また自然環境に影響を与える。人は変容した自然環境に対応し、自然環境はまた変化する。人の活動をこれからも持続させるには、自然環境を所与のものとするだけではなく、時に適切な形で関与可能とするような視点が必要であろう。また、要素に分割して知見を深める手法だけでなく、全体を意識した上で要素を理解する手法も必要とされるだろう。人が自然と共存する道を探すという課題は現在進行形の課題であり、本シンポジウムを通じて議論を深めていきたい。

概要

開催日時

[1日目] 2016年1月29日(金) 10:30~18:00(*10:00~)
[2日目] 2016年1月30日(土) 10:00~16:40(*9:30~)
[3日目] 2016年1月31日(日) 9:30~14:30(*9:00~)

*受付開始

※1月30日のみ公開シンポジウム

会場

国立科学博物館上野本館

国立科学博物館 日本館2階講堂

〒110-8718 東京都台東区上野公園 7-20

※通用門よりお入りください。

 ・JR上野駅(公園口)から徒歩5分。
 ・東京メトロ銀座線・日比谷線「上野」駅(7番出口)から
   徒歩10分。
 ・京成線「京成上野」駅(正面口)から徒歩10分。

 ※館内に駐車場および駐輪場はございません。

参加費

無料

対象者

研究者・学芸員向け

昼食

29日、31日の専門家ワークショップに関しましては、
お弁当をご希望の方は事前に注文をお受けいたします。
(1日につき、1,000円 : 当日受付にて徴収いたします。)

懇親会

日時 : 1月29日(金) 18時開始
会場 : 国立科学博物館内
会費 : 5,000円

※要事前申込み(参加登録時)
※会費は当日受付にて徴収いたします。

申込締切日・定員

1月15日(金) 定員40名
まだ若干定員に余裕があります。定員に達し次第、締め切らせていただきます。
※WEBからの事前申込みが必要。
(右上のボタンよりお申し込みください)

※先着順
※30日のみ参加希望の場合は、一般募集の状況により抽選の可能性がございます。

お問合せ ■ 国際シンポジウム事務局
〒305-0005 茨城県つくば市天久保4-1-1
国立科学博物館理工学研究部内
TEL: 029-853-8901(代表)
FAX: 029-853-8492
Email: anthropocene2016@kahaku.go.jp

プログラム Program

※プログラムは随時更新されます。最新のプログラムはこちらでご確認ください。

チラシ

ワークショップ「アントロポシーンを展示する」(専門家のみ)

日時 使用言語 タイムテーブル

1月29日(金)

10:30~18:00
日本語

英語

同時通訳あり

10:00

受付開始

10:30

開会挨拶および趣旨説明

11:00

常設展示の視察および意見交換

12:00

昼食・休憩

13:30

講演――国内外の展示事例――

「『アントロポシーンへようこそ:人類の手の中にある地球』展――研究にもとづく展示の一例として」
Helmuth Trischler 氏 (ドイツ博物館研究部長、レイチェル・カーソン環境社会研究センター長)

「来館者との対話を通して『人の時代』を考える、スミソニアン自然史博物館・化石ホール」

Meg Rivers 氏 (スミソニアン国立自然史博物館展示企画者・プロジェクトマネージャー)

「考古学からみた中世日本の技術」
村木 二郎 氏 (国立歴史民俗博物館准教授)

15:15

休憩

15:45

特別展の視察および意見交換(「ワイン展」)

17:00

総合討論

18:00

懇親会

一般公開

日時 使用
言語
タイムテーブル

1月30日(土)

10:00~16:40
日本語

英語

同時通訳あり

9:30

受付開始

10:00

開会挨拶

10:15

基調講演

「アントロポシーンにどのような意義を見出すか」
Eric Dorfman 氏 (カーネギー自然史博物館長(アメリカ)、国際博物館協会-自然史の博物館・コレクション国際委員会(ICOM-NATHIST)委員長;海洋科学、環境学)

「ヒトと自然と科学」
青柳 正規 氏 (東京大学名誉教授、文化庁長官;ローマ美術史)

11:45

昼食休憩

13:00

招待講演(各30分)

「アントロポシーン――文化上の革命か、それとも正式な地質年代単位か?」
Martin J. Head 氏 (ブロック大学教授(カナダ)、国際層序委員会第四紀層序小委員会(ICS-SQS)委員長;古生物学、地質学)

「人類中心主義を超えて――文明の発生学的モデルをふまえて」
中牧 弘允 氏 (国立民族学博物館名誉教授、吹田市立博物館長;文化人類学)

「ホモ・サピエンスの拡散とアントロポシーン」
篠田 謙一 氏(国立科学博物館人類研究部長;自然人類学)

「ヒトの原罪」
村上 陽一郎 氏 (東京大学名誉教授・国際基督教大学名誉教授;科学史)

「アントロポシーンを語るということ――技術史における課題」
Helmuth Trischler 氏 (ドイツ博物館研究部長、レイチェル・カーソン環境社会研究センター長;技術史)

15:30

休憩

15:40

パネルディスカッション

コーディネーター: 山根 一眞 氏(獨協大学経済学部特任教授;ノンフィクション作家)

パネリスト: Eric Dorfman 氏, Martin J. Head 氏, 中牧 弘允 氏,
篠田 謙一 氏, 村上 陽一郎 氏, Helmuth Trischler

16:40

閉会挨拶

ワークショップ「自然環境と人間の活動、そして将来における科学技術系博物館の役割」(専門家のみ)

日時 使用言語 タイムテーブル

1月31日(日)

10:00~14:30
日本語

英語

同時通訳あり

9:00

受付開始

9:30

開会

9:50

講演(1)――人類と環境を多角的に考える――

「バイオスフィアとテクノスフィアを如何にして数量的に記述するか?」
三上 喜貴 氏 (長岡技術科学大学副学長)

ご本人の都合によりキャンセルとなりました。
「環境内における関連性――不確実な将来を前にした共有資源と水資源」
Mauro Van Aken 氏 (ミラノ・ビコッカ大学研究員・講師)

「人間活動の痕跡としての自然史標本――大気汚染の変遷を反映する地衣類」
大村 嘉人 氏 (国立科学博物館植物研究部研究主幹)

11:00

休憩

11:20

講演(2)――人間の営みを保存する――

「正倉院宝物の伝世」
中村 力也 氏 (宮内庁正倉院事務所主任研究官)

「文化財は残せる?――近代文化遺産(産業遺産)を例に」
中山 俊介 氏 (東京文化財研究所近代文化遺産研究室長)

12:30

昼食

13:30

話題提供および総合討論

14:30

閉会