2013-11-28

小笠原に新火山島が誕生?


国立科学博物館日本館南翼の常設展示で西之島火山を確認しよう




























図4.国立科学博物館・日本館3F南翼の「火山と温泉の分布」展示






 国立科学博物館の日本館3F南翼には「火山と温泉の分布」の展示があります(図4)。この展示では気象庁が定義した108の火山の分布を見ることができます。今回噴火が始まった西之島火山がどこにあるのか確認してみましょう。なお、この展示が作製された平成18年以降の平成23年に新たに2地域の火山が活火山として追加選定されたため、現在の活火山数は110となっています。

 西之島を含む伊豆−小笠原弧の活火山の分布を見てみましょう。最北端の富士火山から最南端の日光海山まで24個の活火山が緩やかな弓状に並んでいます。この活火山分布は伊豆・小笠原海溝と平行に列をなしていることに気がつくと思います。実はこの火山分布は火山をつくったマグマの成因を解明するヒントになりました。海溝から沈み込んだプレートは水を地下に押し込み、一定の深さの岩石を溶かしやすくするためにマグマが生産されます。沈み込みの角度は一定のため、海溝から一定の間隔をおいた場所にマグマが噴出し、火山を形成するのです。


<執筆・監修>
国立科学博物館 地学研究部 鉱物科学研究グループ 研究主幹 佐野貴司



<参考文献>
・青木斌・小坂丈予(1974)海底火山の謎−西之島踏査記。東海大学出版会、250p.
・小坂丈予(1991)日本近海における海底火山の噴火。東海大学出版会、279p.
・海野進・中野俊(2007)父島列島地域の地質。地域地質研究報告(5万分の1地質図幅)、産総研地質調査総合センター、71p.