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光の速さに近づくと時間が遅れるって本当ですか?
宇宙旅行をすると年をとらないって本当ですか?
宇宙船から宇宙を見ると、どのように見えるのですか?
超光速ワープはできるのですか?
太陽系のような惑星をもっている星は他にあるのですか?
宇宙人は本当にいるのですか?


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宇宙旅行編
光の速さに近づくと時間が遅れるって本当ですか?
 そうなんです。もしも、みなさんが光の速さに近いようなスピードの宇宙船にのって旅行をしているならば、その宇宙船の外側にいる人からみると、宇宙船の中の時間はゆっくり進む、つまり時間が遅れているのが観察できます。このことは、アインシュタインが1905年に発表した、特殊相対性理論によっています。
 手から投げられたボールや飛んでいるロケットなどは、その運動をじゃまする力が働かないかぎり、一定の速さでどこまでもまっすぐ動いていきます。これを等速直線運動といいますが、こういう運動をしている物体をむずかしい言葉で慣性系ともよんでいます。
 アインシュタインは特殊相対性理論の中で、力学の法則や電磁気の法則などの「自然界の法則がすべての慣性系で同じように成り立っている」、「どの慣性系から見ても、光の速さは一定である」という二つの原理を定めました。相対性とはどの慣性系も特別なものではないという意味で名づけられました。また、光の速さが一定であるという光速度不変の原理は、1887年のマイケルソンとモーリーの実験で確かめられていました。そうすると、時間と空間とを区別して考えることはできなくなり、時間と空間をいっしょにした時空を考える必要がでてきました。また、運動する物体の速さの上限が光の速さであることがわかりました。
 特殊相対性理論では運動する物体の時間は進みかたが遅くなります。その割合は、物体の速さの光の速さに対する比の2乗を1から引いて、またその平方根をとったものになります。
 たとえば、光の速さの90%、秒速27万kmで飛んでいるロケットを考えてみましょう。すると、0.9の2乗が0.81ですから、1から0.81を引くと0.19になります。その平方根は約0.44。つまり、ロケットの外側の時計が1秒進むあいだに、ロケットの中の時計は0.44秒しか進まないことになるのです。ロケットのスピードがもっと速く、光の速さにより近づくと、時計の遅れはもっと大きくなります。これが、光の速さに近づくと時間が遅れる、ということなのです。
 特殊相対性理論では、この他にもいろいろ面白いことがおこるのが予言できます。まず、運動している物体の長さは縮んで見えます。そしてこの割合は、時間の遅れと同じです。先ほどのロケットの例でいえば、私たちから見るとロケットの長さは0.44倍に縮んで見えることになります。これを初めて考えた人の名をとって、ローレンツ収縮とよんでいます。
 また、光の速度が物体の速度の上限だということも確かめられます。先ほどのロケットの中から、このロケットにたいしてやはり光の速さの90%の速さで前にミニロケットをうちだした、とします。これを私たちが見ていると、0.9たす0.9で光の1.8倍の速さになりそうですが、じつはそうはなりません。計算のための式を取り上げることはしませんが、ミニロケットの速さは光の速さの約99.5%になります。
 ふだんの私たちの生活ではほとんど体験できない不思議なことが、光の速さに近づいた世界ではおこってくるのです。
宇宙の質問箱

ロケットの中の時計は遅れている
   

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