深海展の主なみどころ

本展の主な見どころは次の通りです

①潜水調査船「しんかい6500」の実物大模型
②約380点の深海生物の標本を展示する「深海 生物図鑑」
③全長約5メートルのダイオウイカの標本
④厳しい環境に適応するユニークな生物の生 態解説
⑤ダイオウイカなどを迫力の映像で見る深海 シアター


上記のみどころを含む7つのコーナー(第2会場での展示を含む)をご紹介します。

左の地図から、各コーナーをクリックして下さい。


1.深海の世界

水深200メートルを超える深海は、太陽の光が届かない暗闇の世界です。陸上よりはるかに高い水圧がかかり、水温も低い、といった特徴があります。このコーナーでは、太陽光がどこまで届くのか、深海の水温がどれぐらいなのかを紹介します。深海の高い水圧に耐えられず壊れてしまったチタン合金製の「耐圧殻」なども展示し、圧力のすさまじさをご覧いただきます。

このページのトップへ戻る

2.深海に挑む

日本が世界に誇る潜水調査船や無人探査機の実物や模型を展示し、深海の謎に迫る人類の挑戦を紹介します。
最大の展示物は、海洋研究開発機構が保有する有人潜水調査船「しんかい6500」の実物大模型(全長9・7メートル、幅2・8メートル、高さ4・1メートル)です。深さ6500メートルまで潜れる同船は、世界中の海で海底の地形や地質、深海生物などを調査し、潜航回数は2012年に通算1300回に達しました。これだけの深さに潜れる潜水船は世界で7隻しかありません。
このほか、深さ7000メートルまで潜れる無人探査機の「かいこう」や深海生物の調査を専門に行う探査機「ピカソ」の実物、海中の経路を自力で走る探査機「ゆめいるか」などの模型も展示します。

このページのトップへ戻る

3.深海生物図鑑

深海は生物が少ないと思われがちですが、浅い海より種類が多い生物グループもあります。国立科学博物館や海洋研究開発機構が所蔵する約380点の貴重な深海生物の標本などを分類群ごとにまとめて展示します。

■タカアシガニ
世界最大の節足動物で、日本近海の深さ300~400メートルに生息しています。全長3メートルまで成長するケースもあり、展示する標本(幅170センチ、奥行き155センチ、高さ80センチ)も迫力があります。
■オオグチボヤ
ホヤの仲間。富山湾などの深さ300~1000メートルにすんでいます。大きな口に見えるのは入水孔で、流れに向かって開き、流れに乗って漂ってきたプランクトンなどを食べます。時には小エビを丸呑みしてしまうようで、ホヤには珍しい肉食の種類ではないかと考えられています。

■コトクラゲ
竪琴のような体形から、この名がつけられました。相模湾や鹿児島沖の深さ70~230メートル付近にすんでいます。浮遊して暮らすクシクラゲが多い中で、海底の岩などに付着して生活する珍しい生態です。
■オオイトヒキイワシ
南日本の太平洋側をはじめとする世界中の暖かい地域の深海にすんでいて、深さ4720メートルで見つかったケースもあります。体長は約40センチに達し、長く伸びた腹ビレや尾ビレで海底に立つ姿から、「三脚魚(さんきゃくうお)」との異名をもちます。

このページのトップへ戻る

4.深海に生きる

厳しい環境や、それに適応して生きる深海生物の不思議に迫ります。

■アカチョウチンクラゲ
体に付着するウミグモ類やヨコエビ類などにすみかを与える一方、翼足類(よくそくるい)と呼ばれる巻き貝の仲間に付着して成長するプランクトンです。日本近海などの深さ450~900メートルに生息し、居酒屋の「赤ちょうちん」のような体形をしていることから名づけられました。水の中では、多くの生物が互いの体をすみかにするなど支え合い、生態系を保っています。


■スケーリーフット
大きさ3~5センチほどの巻き貝で、インド洋の深さ2500メートル付近に生息しています。海底から噴き出す熱水に含まれる硫化水素を共生する微生物がエネルギー源にかえ、成長しています。足は、硫化鉄をまとったウロコ状の器官に覆われています。硫化鉄をまとわない白い種類もいます。


■カイコウオオソコエビ
無人探査機「かいこう」が1997年、世界で最も深いマリアナ海溝のチャレンジャー海淵(深さ10911メートル)で大量に見つけました。陸上の1000倍の水圧がかかる暗闇で、冷蔵庫並みに冷たい水温2度という過酷な環境の中、海底にたまった木くずなどを食べ、独自の消化酵素で糖分に分解する、驚くべき生態も明らかになりま
した。環境にやさしいバイオエタノールの生産に応用できるのではないかと期待されています。


■極限環境にすむ
日本近海の熱水が噴き出す深さ700~1600メートルの海底にすむゴエモンコシオリエビは、自分の腹に生やした毛の上で、エサとなるバクテリアを養っています。クジラの死骸にだけすみつくゴカイ類のホネクイハナムシは、根のような器官をクジラの骨の中に張り巡らせ、クジラの骨からしみ出す養分を吸収しています。まるで植物のような生き方です。海底の下数百メートルにも微生物が生息し、エネルギー源として期待されるメタンハイドレートの生成にかかわっているものもいます。

このページのトップへ戻る

5.深海への適応

深海での生活に適応するため、巨大化したり、光を放って獲物を見つける生物などを紹介します。
■ダイオウイカ
国立科学博物館が所蔵するダイオウイカ(ヒレの先端から腕の先まで約3メートル、触腕まで含めると約5メートル。2007年に島根県出雲市沖で捕獲)の標本を展示します。深さ650~900メートルの深海に生息しています。 大きなもので全長18メートルといわれ、世界最大の無脊椎動物とされるダイオウイカは、古くから「幻の巨大イカ」として船乗りに恐れられましたが、実態は21世紀になるまでよくわかりませんでした。同博物館の窪寺恒己博士が2012年、小笠原諸島近くの深海で、動画撮影に初めて成功するなど、生態は少しずつ解明されています。
■ツノナシオハラエビの仲間
インド洋や大西洋の熱水が噴き出す深さ1600~3700メートルの海底にすんでいます。熱水に触れて死ぬのを避けるため、背中には、数百度の熱水から出ているかすかな光を感知する特殊な目があります。

このページのトップへ戻る

6.深海シアター

横幅5メートルを超えるスクリーンで、深海生物の生態を記録した貴重で迫力ある映像をお楽しみください。2012年に深海での動画撮影に初めて成功したダイオウイカもお目見えします。
潜水船に乗って深海に潜航するような感覚で、あなたを深海のトワイライトゾーンから海底まで、不思議な世界へといざないます。

このページのトップへ戻る

7.深海の開発と未来(第2会場)

深海にすむカニやエビは缶詰や食材として利用され、深海の微生物がもつ酵素からは産業や医療に役立つ物も作られています。また深海は、エネルギー源やハイテク機器の材料となる鉱物資源の宝庫でもあります。領海と排他的経済水域を合わせると世界第6位の海洋面積をもつ日本では、近海の海底に眠るメタンハイドレートやレアメタル(希少金属)、レアアース(希土類)への期待が高まっています。会場では、様々な金属が含まれるマンガンノジュールやチムニーの実物を展示します。