第400号
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科博メールマガジン第400号
発行日:2011年1月27日
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2003年の5月18日から始まった科博メールマガジンが、今回で第400号を迎
えることとなりました。今では、お陰様で13000名を超える方々にご登録頂い
ており、多くの方に支えられていることを実感しています。今後も、みなさま
により充実したものをお届けしたいと思いますので、引き続きご愛読頂ければ
幸いです。
また、メールマガジン特製壁紙(カレンダー付き)プレゼントの2月分が今
号よりダウンロードできます。今回はみなさまに、一足早い「春」をお届けし
ています。ぜひそちらもチェックしてみてください。
※ 科博メールマガジンは、国立科学博物館が毎週木曜日に発行しています。
※ このメールマガジンは等幅フォントでご覧ください。
▼- 目 次 -▼-▼-▼-▼-▼-▼-▼-▼-▼-▼-▼-▼-▼-▼-▼-▼-▼-▼-▼
■ エッセイ 「高いほど古い?」
■ 常設展示紹介 「フーコーの振り子」
■ 上野散策 「鴎外と上野(その1)」
■ お知らせ
■ 科博関連メディア情報
■ 壁紙プレゼント(2月カレンダー付き)
■ 他館紹介
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◆ エッセイ ◆
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高いほど古い?
人類研究部 河野 礼子
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昨年11月に2週間ほど、中国南部の広西チワン族自治区に行ってきました。
北京のIVPP(古脊椎動物与古人類研究所)の研究グループが実施する化石発掘調
査に参加したのです。
広西チワン族自治区には風光明媚な景観で世界的に有名な桂林という観光地
がありますが、今回私の行った崇左市は桂林よりもっと南西の、ベトナム国境
近くに位置しています。崇左付近も桂林と同様にカルスト地形が発達しており、
数百メートルの高さの石灰岩のタワーがサトウキビ畑の間にぽこぽこと突き出
しています。
これらの山々にはところどころに裂け目や洞窟があって、洞窟にたまった堆
積物の中に、動物の化石が含まれている場合があるのです。100万年以上前から
数10万年前までのいろいろな古さの堆積を含む洞窟があり、霊長類の化石も見
つかります。私が特に関心があるのは、絶滅したギガントピテクスやオランウ
ータンなど類人猿の化石です。幸いなことに、今回の調査中、私自身もギガン
トピテクスの歯の化石を1つ発見することができました。
ところで、私にとってちょっと不思議だったのは、同じ山の洞窟ならば、高
いところにある洞窟ほど古い堆積物を含むということです。そのからくりは、
高いところの洞窟ほど古い時代に地表近くにあった、ということなのですが、
一生懸命考えても難しくてなかなかすっとは腑に落ちません。
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◆ 常設展示紹介 ◆
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フーコーの振り子
事業推進部 田邊 玲奈
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日本館では、階段室の4階の天井から地下までの吹き抜けを利用して、フー
コーの振り子を設置しています。フーコーの振り子は、地球の自転を証明する
実験です。
当館のフーコーの振り子の展示の歴史は古く、本館(現在の日本館)ができ
て間もない1934年(昭和9年)に現在と同じ場所に設置されました。その長さ
は19m、質量48kgの鉛の球で、日本で初めてのフーコーの振り子でした。
その後、1981年(昭和56年)に改修し、長さは19.5メートル、質量約50kgの
ステンレス製の球に変わり、現在に至ります。昔の当館をご存知の来館者の方
からよくおっしゃっていただくのは、「昔来たときに、この振り子がとても印
象に残っていました。久しぶりに来て、まだ展示されていて懐かしかったです」
という内容です。このフーコーの振り子は、こうして長年、当館を見守り続け、
変わることの大切さとそして変わらぬこともまた大切であることをひっそりと
伝えてくれるような気がします。
長年の使用により老朽化し、楕円を描いて振れてしまうため改修が必要にな
り、2月20日まで改修工事を行っています。主な改修内容としては、上部の吊
金具(ナイフエッジ)の取り替えと、金曜日の20時までの開館時間に合わせて
床の文字盤表示を20時まで延長します。しばらくご覧いただくことが出来なく
なり、申し訳ありませんが、改修後も振り子の姿は変わりませんので、今後と
も親しんでいただければと思います。
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◆ 上野散策 ◆
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鴎外と上野(その1)
事業推進部 石川 昇
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森鴎外は文久2(1862)年、山口県津和野で生まれました。医者を志して父
とともに10才で上京、第一大学区医学校(現東京大学医学部)に入りました。
卒業後、軍医となって東京陸軍病院に勤務。その後、ドイツ留学、陸軍のなか
で軍医として出世、さらに、小説、評論活動も行い、帝室博物館長や帝国美術
院長を務めました。そして、その人生の多くは上野周辺を舞台にしていました。
医学生の時代、鴎外は本郷龍岡町の下宿屋に住みました。龍岡町は東大龍岡
門の近くです。そして、龍岡町には上野散策第223号で散策した「不忍池の西に
ある無縁坂」があります。不忍池西側の不忍通りから上がっていく無縁坂は鴎
外の小説『雁』で主人公岡田が毎日散策する坂です。
明治22(1889)年、小説『舞姫』を書いたことで知られるのが上野花園町に
ある新婚時代の家です。不忍池東側の動物園通りを谷中方面に進むと、動物園
の先、左側にホテル鴎外荘があり、当時の家が残されています。このあたりは
上野散策第260号「かつてあった町「上野花園町」」で散策しました。
鴎外の新婚は苦く、翌年離婚、その年に駒込千駄木町の家に引っ越し、「千
朶山房」と名付け、約2年住みました。この家には十数年後、明治36(1903)
年から5年間、夏目漱石が住みました。この家は昭和40年、財団法人博物館明
治村に移設され、「森鴎外・夏目漱石住宅」として展示されています。
明治25(1892)年には千朶山房から500m位のところ、団子坂を上がった所に
新居「観潮楼」を建設して転居しました。文京区教育委員会が設置した案内板
によると、遙か遠くに品川沖が眺められたので、この名をつけたそうです。こ
の家には大正11(1922)年に亡くなるまで住みました。
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◆ お知らせ ◆
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【特別展「空と宇宙展‐飛べ!100年の夢」】
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1910年に日本初の動力飛行が実現してから100年を記念し、これまでの航空・
宇宙の技術開発の歴史と成果を紹介します。初公開の貴重な資料や、小惑星探
査機「はやぶさ」の実物大モデルも展示します。
【開催期間】 平成22年10月26日(火)〜平成23年2月6日(日)
詳しくは下記をご覧下さい。
http://www.kahaku.go.jp/exhibitions/ueno/special/2010/sora-uchu/index.html
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企画展「エコで粋!?自然に学ぶネイチャーテクノロジーとライフスタイル展
−‘ものつくり’と‘くらし’のあたらしいか・た・ち−」
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人と自然が共に育む豊かな未来のために、科学・技術にできること。2030年
の厳しい環境制約の中でもこころ豊かに暮らすために、自然のしくみにヒント
を得た環境負荷の低いテクノロジーのたまごたちと、日本文化に根差した共生
型のライフスタイルをご紹介します。
【開催期間】 平成22年10月26日(火)〜平成23年2月6日(日)
詳しくは下記をご覧下さい。
http://www.kahaku.go.jp/event/2010/10nature/index.html
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【2010年ノーベル賞受賞記念展】
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2010年ノーベル化学賞の2人の受賞者について、その素顔や業績を、解説パ
ネル及び関連資料により紹介します。併せて、改めてノーベル賞に関して広く
理解を図るために、ノーベル賞そのものの歴史や意義、過去の日本人受賞者の
素顔や業績も紹介します。
【開催期間】 平成22年12月21日(火)〜平成23年2月27日(日)
詳しくは下記をご覧下さい。
http://www.kahaku.go.jp/event/2010/12nobel/index.html
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附属自然教育園 企画展「ウグイス−春を告げる鳥−」特別講演会
「ウグイスが教えてくれる自然のしくみ−托卵と温暖化をめぐって−」
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托卵を受けた鳥は対抗手段をもたないのだろうか?地球温暖化は鳥の生活に
どんな影響があるの?これらの疑問を、鳥類研究の第一人者樋口先生が解き明
かします。ウグイスの生態から明らかになった自然のしくみを楽しく学びます。
【実施日時】 平成23年2月13日(日)13:30〜15:00
詳しくは下記をご覧下さい。
また、企画展「ウグイス−春を告げる鳥−」についてもこちらをご覧下さい
http://www.ins.kahaku.go.jp/exhibition/data/36336.pdf
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【研究者紹介〜「私の研究」 開催中!】
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研究者紹介〜「私の研究」は、当館の研究者が各自の研究について紹介する
展示コーナーです。地球館地下3階「科博の活動」でポスターと関連資料で展
示を行っています。チラシも配布中です。
現在展示中の研究者は、動物研究部:野村周平、植物研究部:海老原 淳、
地学研究部:佐野貴司、人類研究部:篠田謙一、理工学研究部:西城惠一の5
名です。また、これまで掲載のポスターは、以下のページでもダウンロード頂
けます。展示室もWebサイトも、是非ご覧ください。
↓紹介ページはこちら
http://www.kahaku.go.jp/research/researcher/my_research/index.html
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【ホットニュース最新号をアップしました!】
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ホットニュースの最新号『国立科学博物館の常設展示に見るノーベル賞関連
展示---ノーベル賞2010!』をHP公開しました。
今回のホットニュースは、先月号に引き続き、今年度のノーベル賞について、
特に当館の扱う分野に関連して、化学賞と物理学賞の内容を踏まえながら、そ
れに関連した当館の常設展示を紹介しています。先月号とともにご覧ください。
クロスカップリングの流れも分かりやすく図で紹介しています。
↓最新号ページはこちら
http://www.kahaku.go.jp/userguide/hotnews/index.php
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【雑誌milsil(ミルシル)通巻19号と定期購読について】
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特集は「ヒューマノイド−ロボットはどこまで人間に近づいたのか」です。
ロボットが「人間に近づく」、そのアプローチは様々な方面から行われ、日
々進化を続けています。人が人を理解するための人間学的側面を持つヒューマ
ノイド研究の最先端をご覧頂ければと思います。
発行日 :平成23年1月1日(土)
定 価 :400円(税込)
定期購読やお得な会員制度など詳細については下記をご覧下さい。
http://www.kahaku.go.jp/userguide/book/milsil/index.html
(友の会)http://www.kahaku.go.jp/userguide/repeater/index.html
(賛助会員)http://www.kahaku.go.jp/userguide/support/index.html
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【科博のイベント情報紙「kahaku event」2−3月号発行!】
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2−3月号では、現在開催中の展覧会情報や2−3月開催予定のイベントを
紹介しています。
情報紙「kahaku event」(年6回 A4サイズ 6ページ)は、展示や学習
支援活動などの情報を掲載しています。国立科学博物館の施設内等で無料で配
布しています。見学やイベント参加の計画をたてる際にご活用ください。
(「友の会会員」「賛助会員(個人特別会員)」の方には郵送でお届けします。)
詳しくは下記をご覧下さい。
http://www.kahaku.go.jp/news/2011/kahakuevent02/index.html
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◆ 科博関連メディア情報 ◆
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○ 放送日時 : 1月29日(土)20:00〜20:44
放 送 局 : NHK(総合テレビ)
番 組 名 : ワンダー×ワンダー
世界最大の青ダイヤ「ホープダイヤモンド」。悲劇の王妃、
マリーアントワネットも愛したと言われるこのダイヤにつ
いて、なぜこれほど深い青色をたたえているのか、その秘
密に迫ります。ゲストとして地学研究部松原聰部長も出演
します。
詳しくはこちらをご覧下さい。
http://www.nhk.or.jp/wonder/program/54/index.html
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◆ 他館紹介 ◆
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全国科学博物館協議会加盟館の特別展示等をご紹介します。
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■岩手県立博物館
テーマ展「大地(ジオ)を楽しむ旅へ」
12月5日〜2月27日
http://www.pref.iwate.jp/~hp0910/exhibition/geology/geology.htm
■NHK放送博物館
特別企画展示「大河ドラマ50」
12月7日〜3月27日
http://www.nhk.or.jp/museum/event/210120701.html
■府中市郷土の森博物館
企画展「梅にウグイス? 〜郷土の森園内の野鳥〜」
12月11日〜4月10日
http://www.fuchu-cpf.or.jp/museum/event/tenji.html#ume
■電気の史料館
企画展「路面電車の走る街 〜都市の交通と電気〜」
11月30日〜3月6日
http://www.tepco.co.jp/shiryokan/special/index-j.html
■あいち健康プラザ 健康科学館
冬の特別展示「絵本の森で大活躍!」
12月18日〜3月6日
http://www.ahv.pref.aichi.jp/hp/menu000000300/hpg000000201.htm
■出雲科学館
企画展「暗号 〜怪盗リカムからの挑戦状〜」
2月11日〜3月13日
http://www.izumo.ed.jp/kagaku/news/11angou/11angou.html
■笠岡市立カブトガニ博物館
特別陳列「カブトガニの父 西井弘之展」
2月1日〜3月31日
http://www.city.kasaoka.okayama.jp/0012/002v.html
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☆★ チケットプレゼント ★☆
上記で紹介の全国科学博物館協議会加盟館のうち、下記博物館の招待券を、
それぞれ抽選でプレゼントいたします!
ご希望の方は、magazine@kahaku.go.jp 宛に、(1)ご住所(郵便番号) (2)
お名前 (3)ご希望の館名 (4)メールマガジンのご感想 をお書き添えの上、
メールでご応募ください。締め切りは2月9日までです。また、当選発表は発
送をもってかえさせていただきます。
*電気の史料館 (5組10名様)
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★ メール募集中 ★
科博に関する思い出、展示の感想など皆様からのメールをお待ちしておりま
す。(ご感想などについては、このメールマガジンにて紹介させていただくこ
とがあります。なお、お名前は公表しません。)
宛先: magazine@kahaku.go.jp
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◆編集:国立科学博物館 事業推進部 広報・サービス課
◆発行:国立科学博物館
東京都台東区上野公園7−20
◆お問合せ:magazine@kahaku.go.jp
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