2012-07-10
国内初のナキウサギ類の新種化石発見!
新種発見! ---- どうやって新種だと分かったの?
まず、顎(あご)と臼歯の形から、ナキウサギ科の化石であることがすぐに分かりました。ナキウサギの仲間は、属の同定のためにとくに重要な部分が下顎の「第三小臼歯」です。そのエナメル質が作るパターンからアロプトックス属であることが明らかですが,その詳細な形がこれまでのどの種類ともはっきり異なることから、新種(ジャポニクス)と判明しました。
これまでアロプトックス属には6種が知られていましたが、それらは互いに比較的良く似た特徴を持っていました。今回の新種は、これらすべての種とはっきりした違いがあるため、亜属としても区別できるために、新亜属(ミズホプトックス)と言うグループとして分けることになったのです。これは、日本で初めて新種名がついたナキウサギの仲間となりました!
これまでに知られているアロプトックス属の化石は中国〜トルコで見つかっていました。今回の発見はもっとも東にあたる日本からということで、日本が大陸と陸続きであったころの生物相を知る上で意義のある発見となりました。
ちなみに、約5000万年前から生息していたとされるナキウサギ類は、絶滅したものを含め約25の属が知られています。現在生きているのは、ナキウサギ科ナキウサギ属1属のみです。アジア、東ヨーロッパ、北米の一部に30種が生息して、日本では北海道だけに棲んでいます。高い音で鳴いて、体長は約20センチ、耳が小さく、見た目はモルモットに似ています。アロプトックス属は絶滅したグループであり、ナキウサギ属の直接の祖先にはあたりません。