2011-07-22

「東日本大震災被災標本レスキュー活動」 − 藻類標本の救出


鯨と海の科学館の標本レスキュー

 山田町立鯨と海の科学館(以下、鯨館)では、標本の救出作業が震災直後から山田町生涯学習課と鯨館のスタッフ、ボランティアの方々によって精力的に行われ、これまでに旧食堂跡地から約1万点の押し葉標本が回収されています。押し葉標本は、1枚1枚がビニール袋に入れられて保管されていたことが幸いし、海水の浸入を受けずに無事だったものが少なくありません。

 内部に海水が入ってしまった標本はカビを発生させており、カビ、泥、塩分を除くため、水道水での洗浄とエタノールによる殺菌を施したうえ、扇風機をもちいた迅速な乾燥が行われました。そのためには、大量の段ボール板が不可欠で、国立科学博物館からは400枚の段ボール板を送るなどの支援を行いました。

 一方、液浸標本は、鯨館スロープ下倉庫の土砂のなかから約1千点の液浸標本が掘り出され、1本1本洗浄されています。救出作業は現在も継続中で、山田町の方々の、過酷な被災生活のなかでの懸命な復旧作業には筆舌に尽くせない過酷なものがあります。

 鯨館1階倉庫で被災した大型のワカメ押し葉標本45点は、鯨館から救出されたのち、東邦大学へ運ばれ、吉崎誠博士(東邦大学名誉教授)によって修復作業が行われました。鯨館が復旧するまでの間、国立科学博物館で保管することになりました。

 山田町教育委員会や湊敏館長をはじめとする鯨館のスタッフは、鯨館そのものを山田町復興のシンボルと位置づけ、3年後の再開館を目指しているとのことなので、岩手県立博物館とともに国立科学博物館は今後も支援を行っていきたいと考えています。