2009-12-07

続報:新型インフルエンザ ― ワクチンの働きと免疫

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※この記事は以下のページで構成されています。ご覧ください。
新型インフルエンザワクチンの現状
ワクチンと免疫
インフルエンザワクチンの効果
インフルエンザワクチンをつくる

新型インフルエンザワクチンの現状

 本来ならば12月1日掲載となっていた筈の今回の記事。約1週間遅れとなってしまいました。タイムリーに…と言うべきか,インフルエンザに罹ってしまいお休みを頂いておりました。大変申し訳ありません。

 さて,2009年5月1日号のホットニュース『速報:新型インフルエンザ,侵入に注意』で,豚由来の新型インフルエンザの発生をお伝えしてから7ヶ月。翌6月にはWHOの警戒レベルが最高の6に引き上げられ,世界的な流行(パンデミック)が宣言されました。
 日本でも児童・生徒を中心に感染が拡大し,国立感染症研究所・感染症情報センターの発表によれば,11月第1週(11月2日〜8日)の間にインフルエンザと思われる症状で新たに医療機関を受診した方は約15万8千人,患者総数は153万人を数えました。そのうちの約8割を20歳未満の方が占めています。
 脳症(※)や肺炎で亡くなった方も遂に100人を超えました。基礎疾患(持病)のある人の方がない人に比べ危険性が高いと言われていますが,特に持病のなかった方でも重症化した方,亡くなった方もあります。おとなだから,今現在健康だからと安心できる状況ではありません。

 これに対してワクチンの接種は,先ず10月19日から医療関係者,10月30日には妊娠中の方,基礎疾患のある方を対象として始まり,小児への接種も自治体によって開始時期に差はあるものの,11月半ばから順次開始されています。

 ワクチンとは,感染症の予防,或いは重症化の防止を目的に,病原性を失わせたり弱めたりした病原体を身体に接種するものです。
 病原体の侵入を受けた身体には抗体が作られ,以後同じ病原体に感染した際,体内からより早く排除したり,増殖を抑制したりできるようになります。

 ウィルスの体内への侵入を防ぐ効果はなく,インフルエンザに関して言えば,100%発症を抑えられる訳でもありません。しかし,たとえ発症してしまっても,重症化を防ぐ効果はあります。また,接種を受けて抗体を持っている人の数が増えることで,例えば学校や会社,自治体など,その人が所属する集団全体として,発症者が出る可能性を下げることができます。

 今回のホットニュースでは,これからワクチンの接種を受ける,若しくは受けるべきかどうか迷っている皆様に,インフルエンザワクチンの詳細と効果についてお伝えします。

※国立科学博物館は医療機関ではなく,筆者は医療関係者ではありません。ワクチンの接種を勧めたり,逆に接種しないことを勧めるものでもありません。
ワクチンを接種されるかどうかや,副反応の可能性などについては,かかりつけの医師と十分にご相談のうえご判断いただきますようお願いいたします。

写真:
(上)今やすっかりお馴染となった手指消毒剤。
 1回の噴霧で十分効果があります。
(下)抗インフルエンザウィルス薬オセルタミビル(商標タミフル)
 医師及び薬剤師の指導を守って正しく服用してください。

より詳しく知りたい方のために
国立感染症研究所感染症情報センター
厚生労働省

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