2009-10-01

国際宇宙ステーションへ HTV打ち上げ・初補給に成功

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※この記事は以下のページで構成されています。ご覧ください。
H-UB打ち上げ,HTV-ISSドッキング成功
国際宇宙ステーションISS
HTVが果たす役割
HTV Q and A

HTV Q and A

*打ち上げ
Q:何故夜間,しかも01分という中途半端な時間に打ち上げたのですか?
A:ISSの軌道面(ISSの飛行経路が円周となる円形の平面)が発射場所である種子島宇宙センターの上空にある時刻に打ち上げることで,HTVとISSの軌道面を合わせるために必要な推進剤を節約するためです。
 JAXAによれば,打ち上げ時刻が約10分前後しただけで,軌道面を合わせるためにはHTVに搭載している推進剤の大部分が必要になります。

*ISSへの飛行
Q:秒速約8kmという高速で地球上空を周回中のISS。強力なエンジンや豊富な燃料を持たないHTVはどうやって追いついたのですか?
A:ISSを追い掛けるために精一杯スラスターをふかしてどんどん加速…した訳ではありません。
 地球の周りを回る軌道にあるISSやHTVなどの飛行体は,速度を上げると軌道の地上からの高度は高く,その結果軌道を1周するために掛かる時間は長くなります。ISSの速度が変わらないままHTVだけが加速すると,たとえ同じ位置からスタートしても,ISSが地球を1周した時にはHTVは1周し切れていない,つまり遅れた状態になります。
 逆に考えれば,ISSに対してHTVを減速してやれば,その分軌道高度が下がり,1周に掛かる時間は短くなります。相手より遅いのに追いつける,というのは可笑しな感覚ですが,地球の周囲360度のうち,同じ時間でどれだけの角度分周ることができたか(角速度)を比較するとHTVはISSより,確かに速くなっているのです。

*ドッキング
Q:何故自動ドッキングではなく,ロボットアームでの手動ドッキングを行ったのですか?
A:本文中(前頁)でもご紹介しましたが,より大型の物資の運搬・搬出・搬入を目的とするHTVは,プログレスなどが使用している自動ドッキング対応のポートとは異なる,共通結合機構をドッキングに使用しました。共通結合機構には自動ドッキング用の誘導装置がないため,HTVに限らず自動でドッキングすることはできません。

*HTVのこれから
Q:HTVの次の打ち上げはいつか?
A:具体的には決定していませんが,2010年中の打ち上げが決まっています。またその後も2015年まで毎年各1機,合計7機が打ち上げられる予定です。

Q:HTV与圧部に人間を乗せて,宇宙に送ることはできないのか?
A:与圧され,室温も維持されていますが,人間を乗せるためには人間が排出する二酸化炭素ほか化学物質,排泄物等の処理システムなどクリアすべき課題が多くあります。また,仮に乗って行くことができても,大気圏突入・回収システムを備えていないHTVでは地上に戻ることもできません。
 しかし,ISSの飛行士が安全に進入できる実績をつくれたことで,有人宇宙船への第一歩を踏み出せたことは確かです。HTVを改良しての有人飛行の計画もあり,今後を楽しみに見守って行きたいところです。

写真:ISSへのドッキングを控えたHTV。右上に日本の実験棟『きぼう』,右下はISSのロボットアーム(NASA,ISSより撮影)

※日本のロケットや宇宙空間の飛行体は,ISSに関わるものだけではありません。
 H-UB以外のロケットや衛星・探査機については,回を改めてお伝えする予定です。

(研究推進課 西村美里)

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