2009-08-15

夏休み,生き物たちに親しもう! ― 生き物の『多様性』のひみつ (Part 2)


終わりに

 あなたは生き物が好きですか?
 生き物を大切にしたいと思いますか?
 「好き」と答えた人,「好きな生き物も苦手な生き物も両方いる」と答えた人,「嫌い」と答えた人,いろいろだと思います。
 「好き」な人の中でも,動植物がすぐ傍にいる環境で暮らしたい人,動植物を守るために自分の生活が不便になるのはちょっと困るという人など,価値観は人それぞれ違っていることでしょう。
 生き物の多様性を守る難しさのひとつは,この「人それぞれ」にあります。数が減ったり,住むところが狭くなってしまった生き物を人間の手で守るべきだという人もいれば,なるべく人間が手を触れず,自然のあり方にまかせた方が良いと考える人もいます。誰が正しくて,誰が間違っているとはなかなか言えません。
 生き物は「いろいろいた方が良い」のに,人間の考え方はひとつでなくてはいけない,というのもおかしな話です。

 しかし,あなたがこの先生き物たちとどのようなつき合い方をして行くにしても,生き物そのものについて,そして人間を含めた生き物同士の繋がりについて,知っておくべきであることは恐らく間違いないでしょう。
 知らないものについては好きか嫌いかさえ,評価することはできません。1度つき合ってみなければ,ちょうど良い距離感もわかりません。


 2010年10月,愛知県名古屋市で,『生物の多様性に関する条約』を締約した国による国際会議,『生物多様性条約第10回締約国会議(COP10,※2)』が開催されます。昨年ドイツで開かれた第9回(COP9)では各国の政府代表者や国連関係者,NGOのメンバーなど約5,000が参加者として登録された大規模な会議です。
 2002年にオランダで開催されたCOP6は,「生物多様性の減少するスピードを,2010年までに明らかに減少させること」を締約国の目標として掲げました。COP10では目標が達成できたかどうかが評価されると同時に,新たな目標が決定される予定です。

 2010年は,国連が定める「国際生物多様性年」でもあります。
 名古屋市,愛知県を中心に,自然観察会や体験教室,講演会などさまざまな関連イベントが企画されています。
 生き物たちについて,多様性について,生物多様性をめぐる世界の動きについても学べるまたとない機会がやって来ます。

 生き物が大好きなあなたも,苦手,嫌いだというあなたも。COP10まであと1年,会議と関連イベント,そして『多様性』というキーワードに是非注目してみてください。


※2 COP(Conference of the Parties)とは,『生物の多様性に関する条約』に限らず,すべての国際条約の締約国による会議を指します。COP10の標記だけではどの条約のCOPか判らないため『生物の多様性に関する条約』に関する国際会議の名称として正確ではありませんが,ここでは簡略化のため条約名を省略しています。


(研究推進課 西村美里)