2009-07-15

日食観測を楽しもう! (協力:理工学研究部 西城惠一)

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7月22日 国内陸上で46年ぶりの皆既日食
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7月22日 国内陸上で46年ぶりの皆既日食

 2009年7月22日午前,北海道から沖縄までの日本全国で日食が起こります。多くの地域では太陽の一部が月に隠される部分日食ですが,鹿児島県奄美大島北部・トカラ列島・屋久島・種子島南部,東京都小笠原諸島の一部では皆既日食となり,太陽は月の裏側に完全に隠れます。
 日本の陸上で見ることができるものとしては実に46年ぶりの皆既日食です。折りしも今年はイタリアの天文学者ガリレオ・ガリレイ(1564〜1642)が世界で初めて望遠鏡を宇宙へ向けてから400年を記念した『世界天文年』でもあります。私たちに最も身近な恒星,太陽を入口として,この夏休みに宇宙や天文学に親しんでみてはいかがでしょうか?

 日食は太陽・月・地球がこの順番に,一列に並んだ時に起こる現象です。地球から見て太陽と月が同じ方向にあるため,月は必ず新月になります。
 しかし新月の時ならいつでも日食が見られるかと言えばそうではありません。月が太陽を隠す為には太陽・月と地球が同じ平面上に揃っていなければならないのですが,地球が太陽の周りを公転する軌道に対して,月が地球の周りを公転する軌道が僅かに傾いているため, 月の位置はしばしば太陽と地球を結んだ線の上から外れてしまうのです。
 線上からのずれが極めて小さければ,太陽の一部が隠される部分日食が見られる可能性が残りますが,完全にずれてしまえば日食は起こりません。

 巧く同一の平面状で並んだとしても,毎回皆既日食が起こるわけでもありません。
 月の公転の軌道は正確な円ではなく楕円形をしている為,月が楕円のどの位置に来ているかによって月と地球の距離は近づいたり遠ざかったりします。地上から見た月の見かけの大きさは,月と地球が近ければ大きく,遠ければ小さくなります。
 皆既日食が見られるのは,地球から見た月の見かけの大きさが,太陽の見かけの大きさよりも大きくなっている場合だけです。月の見かけの大きさの方が小さい場合,太陽を完全に隠すことができず,月の外側に太陽の姿が円形にはみ出します。この時の太陽の姿が金色の環のように見えることから,これを金環食といいます。

 皆既の条件が揃った場合,太陽と月を結んだ直線の真下に当たる昼側の地域で皆既日食を見ることができます。
 皆既日食の時には普段光球(太陽の表面)の輝きに隠されて見ることができない,太陽の外層大気の様子を観察することができます。また,月の影が完全な円ではなく縁がでこぼこしている様子を見ることもでき,月に立体的な地形が存在することを実感できます。
 太陽と月を結んだ直線から外れた地域では,ずれが小さければ部分日食となり,ずれが大きい地域では日食を見ることはできません。

図:日食の起こるメカニズム(国立天文台 天文情報センター)
写真:2006年3月,国際宇宙ステーションから撮影された,皆既日食時に地上に落ちる月の影。
写真上部の島はギリシア,キプロス島(左下が北) (NASA)


より詳しく知りたい方のために
国立天文台 7月22日皆既日食情報
世界天文年2009

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