2009-05-15
目が離せない恐竜発掘・研究事情(協力:地学研究部 冨田幸光,真鍋真)
『大恐竜展』開催中!
現在開催中の特別展『大恐竜展 知られざる南半球の支配者』は,お陰様でご好評を頂き,5月14日現在37万9千人のご来場を頂いています。
南米・アフリカ・南極など,かつて中生代ジュラ紀から白亜紀に掛けてゴンドワナ大陸と呼ばれた大陸の一部であった地域から発掘された,日本初公開の恐竜・翼竜たち。
ポスターにも描かれているマプサウルスは,白亜紀後期のゴンドワナ大陸を代表する肉食恐竜のひとつです。大型の獣脚類(※1)の化石はこれまで,1体1体単独で発見されることがほとんどでした。しかしマプサウルスは,マプサウルスばかりまとまった群れとして発見されています。群れの中には全長およそ13メートルのおとなの個体から,6メートル程度とまだ若い個体まで含まれており,今回の特別展ではおとなと子ども各1体の復元骨格を展示しています。
マプサウルスは群れで生活していたのでしょうか?群れで子どもを育てたり,一緒に狩りをしたりしたのでしょうか?想像が膨らみます。
ハーモニカのように横に広がった口を持つニジェールサウルスは,その名の通りアフリカ,ニジェールで発見された竜脚類(※2)です。全長10.5メートル程度と,竜脚類としては比較的小さく,首も短めです。特徴的な口は地面近くの葉や草を噛み切るのに役立ったと考えられます。
翼竜コーナーでは沢山の歯を持つアンハングエラの新種と,ユニークな形のとさかを持った歯のないタペジャラの仲間の顔つきを見比べるのも楽しいかも知れません。
『大恐竜展』は6月21日(日)まで。残すところひと月あまりとなりました。未だ見ていない…という方はこの機会に是非,ご来館ください。
さて,恐竜の発掘,研究ではこのところ,新たな発見が相次いで紙面を賑わせました。
日本国内では,2007年11月の本コーナーで,『恐竜化石の発見相次ぐ』として兵庫・福井・和歌山・熊本の4ヶ所での発見をご紹介しましたが,その後も次々に新たな化石が見つかっています。
世界的には恐竜と鳥類との関係を裏づけるとも考えられる,ふたつの発見がありました。
今回のホットニュースでは,前回の掲載からこれまでに話題となった,恐竜に関する新たな情報をまとめてご紹介します。
※1 獣脚類…三畳紀後期に出現し,白亜紀末まで繁栄した恐竜の1グループの総称です。2足で歩行し,大部分は肉食だったため肉食恐竜とも呼ばれますが,魚食のもの,一部には植物食のものもいたことがわかっています。ティラノサウルスのような大型のもの,デイノニクスなど敏捷で高い知能を持っていたと考えられているものを含んでおり,近年では獣脚類の中の1グループが,鳥類に進化したとの仮説が有力になっています。
※2 竜脚類…ジュラ紀前期(原始的なものを含めれば三畳紀後期)に登場した恐竜の1グループの総称です。4足歩行の大型の体,長い首が特徴で,これまでに発見されている種は全て植物食です。白亜紀に入ると北半球では衰退しましたが,南半球では白亜紀末まで繁栄を続けました。
図:『大恐竜展』にて展示中のマプサウルス カルメン・フネス博物館(アルゼンチン)監修復元
(背景に写っているのは同じく展示中のメガラプトル)