2008-11-25

謎の植物 ナンジャモンジャゴケ (協力:植物研究部 樋口正信)

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ナンジャモンジャゴケとは
コケ植物の特徴
謎のコケ ナンジャモンジャゴケへの挑戦
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コケ植物の特徴

 コケ植物(コケ植物門)は維管束を持たず,胞子で増える陸上植物です。多くは小型で高さは大きくても数センチ程度,色は緑が中心ですが赤色や褐色のものもあります。
 一般に湿った環境を好み,森林や岩場,渓谷などでよく見られます。特に雲や霧に覆われていることの多い雲霧林では,地表や木の幹にマットのように一面にコケが着生することがあります。多くのコケ植物は配偶体と胞子体というふたつの姿(世代)を繰り返しています。私たちが普通見慣れている姿は配偶体です。配偶体は有性世代とも言われ,精子をつくる造精器,卵子をつくる造卵器を持ち生殖に関与します。ひとつの株に造精器と造卵器が揃っている種(雌雄同株)と,どちらか片方ずつしか持たない,雄株と雌株に分かれる種があります(雌雄異株)。
 雨などによって水に触れると,造精器から精子が泳ぎ出し,やがて造卵器に辿り着いて受精し,受精卵をつくります。受精卵は配偶体に養分を依存する寄生生活をしながら発達して胞子体を形成します。胞子体は先端にある凵iさく:胞子嚢)で胞子をつくり,成熟した胞子が放出されて発芽することで,次世代の配偶体がつくられます。


 コケ植物門は伝統的に(※3),蘚類(蘚綱)・苔類(苔綱)・ツノゴケ類(ツノゴケ綱)の3つの綱に分類されます。
蘚類は配偶体の形が維管束植物に似て,茎の形をした部分と葉の形をした部分とが明確に分かれています。葉にあたる部分は茎にラセン状につくことが多く,木の葉に似た形をしています。胞子体は頑丈で長期間存在し,凾フ先端にある蓋状の構造が外れることで胞子が放出されます。ミズゴケ,スギゴケ,ヒカリゴケなどが蘚類に属します。
 苔類も,茎と葉にあたる形がはっきりしたものが大半ですが,ゼニゴケのように平べったい葉状のものもあります。一般に,葉の形は丸味があり,深く裂けることが多く,背面に二列,腹面に一列に茎につきます。胞子体は脆弱で比較的短期間しか存在しません。凾ェ4つに裂けてそこから胞子を出すものが多く見られます。ゼニゴケやコマチゴケなどが含まれています。
 ツノゴケ類の配偶体は,ゼニゴケのように葉状です。ひとつの細胞あたりの葉緑体が少なく,葉緑体にはピレノイドと呼ばれるタンパク質性の粒があります。ピレノイドは炭素を取り込むための細胞小器官で,ツノゴケ類のほかには藻類が持っていますが他の陸上植物には存在しません。胞子体は細長い角状で,熟した凾ヘ二つに裂けます。
 ナンジャモンジャゴケは発表当時苔類であるとされましたが,現在では蘚類に分類されています。


※3 近年の形態及び分子系統の研究から,各綱をそれぞれ門とするべきとの提案も出されています。


写真:系統広場 コケ類展示の様子


より詳しく知りたい方のために
日本蘚苔類学会

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