2007-11-15

日本の両生類とカエルツボカビ (協力:植物研究部 細矢剛)


両生類を守るために、具体的に何をすれば良いのですか?

 今すぐに個人でできることが幾つかあります。

 先ずカエルなどを飼育している人は、自分のカエルにカエルツボカビ症の発症が疑われる症状が出たらすぐに検査を受けましょう。各地域ごとに検査手続きを担当するコア獣医師がいますので、最寄の獣医師に紹介を依頼してください。生物を傷つけない安全な検査です。
 万が一カエルツボカビに感染してしまっていても、飼育下であれば治療や、他のカエルへの感染の予防が可能です。野外に放すことは絶対にしないでください。病気のカエルを飼いたくない、という場合には獣医師に引き取ってもらうこともできます。

 自分のカエルがカエルツボカビ症かも知れない症状で死んでしまったら、死体は焼却するか、絶対に死体がゴミ袋の外に出てしまわないよう厳重に包んで燃えるゴミとして捨ててください。可哀想ですが土に埋めてしまうと、土壌や水を通じてカエルツボカビが環境中に流出(※3)してしまうことになります。

 両生類を飼育していない、今後も飼育するつもりもない、という人も、カエルツボカビが蔓延している地域に出掛けたら、他の地域に汚染を拡大させないために靴についた泥などを十分に消毒する必要があります。
 沖縄県西表島では、イリオモテヤマネコの餌となるカエルがツボカビ症によって減少することのないよう、2007年6月から入島者の靴の消毒を行なっています。このような対策は今後も増やされる可能性があります。

※3 カエルツボカビなどツボカビ類は、鞭毛を持った胞子(遊走子)で増えます。遊走子は水中を泳いだり、水流によって運ばれたりして両生類の皮膚に辿り着き、感染します。カエルツボカビは寄生できる生物が存在しない状態でも土壌中などで最長7週間程度生き続けるため、一度環境中に流出してしまうと取り除くことは非常に難しいと考えられています。