2008-02-15

鳥たちにも「流行」がある!? つがい相手選びと性選択 (協力:動物研究部 西海功)


科博からのお知らせ

 国立科学博物館では3月18日(火)から6月22日(日)の約3ヶ月間,上野本館地下1階特別展会場にて特別展『ダーウィン展』を開催します。

 イギリスの自然科学者チャールズ・ロバート・ダーウィン(1809〜1882)は,1831年,測量船ビーグル号に乗船,世界一周の航海に出ました。この途上1835年にガラパゴス諸島に立ち寄り,島ごとに少しずつ甲羅の形が異なるゾウガメに興味を持ちます。
 5年間に渡った航海の中でダーウィンは,後に進化論を考えつくためのヒントとなったと思われる,幾つかの重要なことに気がつきました。
 例えば南アメリカ大陸を海岸沿いに移動していくと,生物が少しずつ近縁と思われる種に置き換えられていっていました。また同じく南アメリカで,その時代には生息していない大型哺乳類の化石と出会い,生物の絶滅を目の当たりにもしました。

 当時ヨーロッパで広く信仰されていたのはキリスト教でした。聖書では全ての生物は神によって,創世記に記された特別な日に創造され,それ以降形が変わったり,新しい種が増えたりはしていないとされています。またノアの洪水以外の理由で,滅び去った種もいないとされます。
 ダーウィンはビーグル号航海での観察を通じて,生物種の不変性に疑問を感じるようになりました。やがて種の分岐を辿る系統樹を描くなど,次第に「進化」という可能性に気づき始めます。
 ビーグル号の帰還以降ダーウィンは,航海記録の出版のかたわら,標本の整理,研究を行ないました。また自らハトの品種改良を行なって種が変異することへの確信を深めています。そして帰還から20年以上が過ぎた1858年,ビーグル号の航海記を読んで興味を抱き,自らも東南アジアなどへ調査旅行に出ていたアルフレッド・ウォレスとの連名の形で自然選択説の論文を発表しました。
 更にその翌年,進化論,自然選択説を纏めた『種の起源』を出版,忽ちベストセラーとなります。キリスト教界を中心に激しい反発を受けますが,博物学者たちの支持,証拠となる標本の提供などを受けて少しずつ社会的に受け入れられて行きました。

 『ダーウィン展』ではダーウィンの生い立ちに始まり,ダーウィンの人生に大きく影響を与えたビーグル号の航海とその途上出会ったであろう生き物たち,また航海からの帰還から『種の起源』出版までの研究と苦難の日々へとダーウィンの軌跡を辿ります。
 アメリカ・ニューヨーク自然史博物館で2005年から2006年に掛けて開催され,好評を博した展覧会の世界巡回展です。進化論と日本のかかわりなど,日本オリジナルの展示も予定しています。

 また,地球館1階には,生命の誕生から現在に至る生物の系統進化の過程を,標本と映像で体感できる常設コーナー『系統広場』があります。
 この機会に是非,ご覧ください。

(研究推進課 西村美里)