国立科学博物館食痕データベース
食痕化石データベース
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虫食いのある葉化石から進化史を解読する

葉に残るかじり跡や穴の痕などの「食痕化石」は、

前期デボン紀以来つづく植物と

小さな動物(昆虫など)のせめぎ合いと共進化を、

約4.7億年の時間スケールで

読み解くための手がかりです。

みなさんは、植物の葉がなにかに食べられた痕を見たことがありますか?植物は、陸上で生きる様々な動物と関わっており、とくに葉には、かじられた痕、葉に小さな穴をあけて汁を吸いとった痕、葉を切り貼りしてつくられた巣など、いろいろな「痕跡」が残ります。こうした痕跡の多くは、昆虫やダニなどの小さな動物が残したものです。

動物は進化の過程で、植物を利用する多様な方法を発達させてきました。一方、植物も動物に一方的に食べられてきたわけではなく、棘や毒などの防御を進化させてきました。植物と動物の関係は、互いの進化に強く影響しあってきたのです。

この関係は、陸上に原始的な植物がいた前期デボン紀にはすでに始まり、現在まで途切れずに続いてきたことが分かっています。その長い歴史を知る重要な手がかりが「食痕化石」、つまり、虫食いなどの痕跡ごと保存された植物化石です。

歯形から個人を特定できるように、食痕の形からも「何がおこったか」や「誰が関わったか」をある程度推定できます。食痕化石を用いて、約4.7億年という時間スケールで植物と昆虫の関係性史を復元しようという壮大な研究が、世界各地で進められています。

食痕の多様性をはかる

植物の印象・圧縮化石の痕跡の

分類体系(FFGやDT)によって、

時代や産地ごとに植物—植食者の相互作用が

どのように変化してきたかを調べることができます。

植物には、動物が残したさまざまな痕跡が保存されています。痕跡の形は口器の形態や行動の違いを反映しているため、これらの痕跡は、直接観察することのできない太古の植食者の生態や進化を探る手がかりとなります。

コンラッド・ラバンデイラ博士らは、形態を行動の代理指標として用い、植物の印象化石や圧縮化石に見られる痕跡を分類する枠組みを構築しました(Labandeira et al., 2007)。まず、摂食痕や産卵痕を含む大きなカテゴリーを「機能的摂食群(Functional Feeding Groups, FFG)」として定義し、さらに各群の中で形態の細かな違いに基づくタイプを「ダメージタイプ(Damage Types, DT)」としています。

2026年3月現在、9つのFFGのもとで400を超えるDTが認定されています。FFGやDTを用いることで、食痕の多様性を定量化し、時代や産地ごとに植物—植食者の相互作用がどのように変化してきたかを調べることができます。

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国立科学博物館
Nationat Museum of Nature and Science