奥野春雄氏珪藻光学顕微鏡写真乾板コレクション

奥野春雄氏 珪藻LM写真乾板コレクション

国立科学博物館に収蔵されている珪藻の光学顕微鏡(Light Microscope)写真の乾板コレクションをご紹介します

写真乾板とは


日本で最も古い珪藻の光学顕微鏡写真

当コレクションは日本の珪藻研究の草分け的存在である奥野春雄氏の珪藻光学顕微鏡写真乾板コレクションです。珪藻の光学顕微鏡写真としては日本で最も古い時代のものであり、1930年代から1950年代に撮影されています。

奥野春雄氏乾板

研究資料として、また文化的価値からも貴重な当コレクションの乾板計2000枚は、国立科学博物館植物研究部棟の図書室に大切に保管されています。

日本の珪藻研究のパイオニア

奥野春雄氏乾板(LM写真)コレクション
1967年5月 Diatomaceenschalen im Elektronenmikroskopischen Bild,Teil.VII執筆当時

奥野春雄氏は日本の珪藻研究を立ち上げた研究者の一人です。

1936年広島文理科大学生物学科(植物学専攻)を卒業、兵庫県の中学校教諭・大坂府天王寺師範学校教諭などを経て1950年から京都工芸繊維大学で教鞭をとられました。

業績としては、日本の珪藻土鉱床についての研究と電子顕微鏡を珪藻研究に導入したことがあげられます。世界的には後者の珪藻の電子顕微鏡観察が有名で、1968年にHelmckeさんと共に出版された写真集は珪藻研究の金字塔といっても過言ではありません。

初期の研究は戦争の影響を強く受けたようで、最初の出版予定だった学位論文の原稿は出版社で空襲によって焼失し、広島大学に保管されていた初期のタイプ標本は原爆により破壊されました。

奥野先生の几帳面さは、国立科学博物館・植物研究部に収蔵されているノートや写真記録からうかがい知ることが出来ます。しかし、一方、研究に用いた標本の多くは、残念ながら行方が分からないままになっています。