まずは予備知識を学ぼう

■外部形態について
地衣類は、外形によって葉状地衣類(例=キウメノキゴケ、マツゲゴケ)、樹枝状地衣類(例=ハナゴケ、サルオガセ)、固着地衣類(例=チャシブゴケ、モジゴケ)に区別されます(図2)。

●図2a ウチキウメノキゴケ(葉状地衣類) ●図2b ホグロハナゴケ(樹枝状地衣類)
 
●図2c スミイボゴケ(固着地衣類)  


●葉状地衣類
地衣体は薄い紙状で、表と裏の区別がはっきりしており、裏面の 偽根(仮根)で基物にゆるく付着しています。内部構造は上皮層藻類層髄層下皮層の四層に分化しています。藻類層の多くは、上皮層の下部に、層状に配列されています。髄層は、菌糸がゆるく絡まり合っています。(図2a)

●樹枝状地衣類
地衣体が小潅木状になり、基物から立ち上がったり、垂れ下がったりしています。地衣体断面は円形のものが大部分で、藻類層は同心円状に並んでいます。(図2b)

●固着地衣類
地衣体が非常に薄く、髄層の菌糸で基物に付着しています。皮層はほとんど発達せず、髄層の菌糸が樹皮内や岩石中に入りこんでいます。(図2c)

■内部構造について

●図3.葉状地衣類の地衣体断面図

地衣体内部構造
地衣体の内部構造は、葉状地衣類では写真のように上下の皮層、藻類層、髄層の四層に分化しています。皮層は地衣体を保護する役目を持ち、上面と下面にあります。藻類層の多くは、上皮層の下に層状に配列されています。髄層は菌糸がゆるくからまりあっており、地衣成分の大部分はここで作られます。一方、樹枝状地衣類では、皮層、藻類層、髄層が同心円状に配列しています。また、固着地衣類の地衣体は非常に薄く、髄層の菌糸で基物に付着します。皮層はほとんど発達せず、髄層の菌糸が樹皮内や岩石中に入りこんでいます。


■着生基物について
地衣類は岩の上、木の皮、屋根瓦やコンクリート上、地面など 安定した基物の上なら、どこにでも生えます。しかし、年間の生長量が3mm以下と遅いので、移動の激しい河原の石や成長の速い竹や草の表面、氷の上などには生育しません。また、年中水中にある石には着生しません。


 
国立科学博物館