技術の歴史をさぐる

前島 正裕(まえじま まさひろ)
産業技術史資料情報センター
技術発達の歴史を調べる
科学技術の発達は、私たちの暮らしを豊かにすると同時に環境問題なども引き起こしています。現代以降の人と科学技術の関係を考えるとき、過去における人と技術の関係や、科学技術の発達過程を振り返ることは有効です。電気技術はもっとも身近な技術の一つですが、私たちの生活を根底から支え、かつ変えてきました。近年は写真のように、古い産業遺構も産業遺産として新たに脚光を浴びています。その活用のための基礎的な調査に協力しています。
アーク灯とその図面資料の保存
過去の証拠品である文献資料とモノ資料は、歴史を紐解く上で欠かせません。証拠品のないところから、歴史は書けないからです。モノ資料は問いかけ方によって、無限の答えを与えてくれます。特に科学技術の歩みや発達過程を考える上で、モノ資料は文献資料からはわからないさまざまな事を示唆してくれます。電気技術の分野では、あかり、電力、電気通信から情報工学まで、現代を支えるさまざまな技術資料の収集・保存に努めています。日本で初めて音が録音・再生された器械や最初に稼動したコンピュータなど、記録的資料もあります。
別子銅山(愛媛県)を支えた旧端出場水力発電所(1912 年建屋完成。 1970年発電所廃止)
太平洋戦争(1941‐45)中のレーダー開発文献資料
設計図面のマイクロフィルム研究員に聞いてみました!

1)専門は何ですか?
科学技術史、特に電気技術史です。
2)研究者になろうと思ったきっかけは何ですか?
電気は不思議です。目には見えないけれど、空間を伝播し、細い電線で送ることもできて、身の回りのいろいろな装置を動かしています。そのような電気の理論が発見され、さまざまに応用されるようになった歴史に興味があります。特に未来の科学技術と人との関係を見据えながら、電気技術の歴史を調べています。
3)最近の研究活動で、最も興味深かった出来事は何ですか?
技術史の研究では、開発をされた技術者に直接インタビューをすることもあります。そんな時、隠された歴史の一面に触れることができることです。
4)研究者になりたい方に一言アドバイスを !
広くいろいろなことに興味を持って、興味を持ったら深く追求すること。