質量分析計で隕石中の元素の同位体を測る

理学
Shigekazu Yoneda

米田 成一(よねだ しげかず)
理学研究部
名誉研究員

質量分析計と同位体

隕石の年代測定を行うとほとんどの隕石が約46億年を示し、太陽系の年齢も約46億年であることが分かりました。放射性のウランが鉛に変わっていくことを利用して精密な分析が行われ、隕石中に発見された太陽系最古の固体の年代が45億6720万年(誤差は±60万年)と報告されています。このような分析を行うのが「質量分析計」です。理工学研究部には筑波移転に際して最新の質量分析計が設置されました。質量分析計は原子を質量、つまり重さで分けて測定できる装置です。年代測定では同じ元素でも質量の違うもの(同位体と呼びます)を分析することが必要です。

研究の様子
隕石の年代測定

私たちの研究グループではアルカリ金属元素であるルビジウ ムの放射性同位体(Rb-87:半減期約490億年)がストロンチ ウム(Sr-87:安定)に変わるのを利用した年代測定を行ってい ます。ストロンチウムには質量が84, 86, 87, 88の4つの安定同位体があり、Sr-86の 量を基準にして相対的な比Sr-87/Sr-86 を測定します。この比が高いとたくさんのRb-87 がSr-87に変わった、つまり年代が古いことが分かります。ある種の隕石中に見つかったアルカリ金属元素の多い部分の年代を測定したところ、 約44億3000万年でした。これはアルカリ金属に富んだ物質が太陽系ができてから1億年以上もどこかに保存されていた証拠となりました。

隕石_偏光顕微鏡写真アルカリ金属元素を多く含む隕石の偏光顕微鏡写真
消滅核種による同位体異常

一方、アルカリ金属元素でもセシウムには隕石の年齢を測 れるほど半減期の長い放射性同位体は存在しません。一番 長いもので半減期が約230万年の Cs-135 です。しかし、太陽系ができてから数百万年程度の間はこの同位体も存在していました。このような同位体を消滅核種と呼び、これまでにアルミニウムの同位体(Al-26:半減期約70万年)などが見つかっています。Cs-135バリウムの安定同位体 Ba-135 に変わりますが、私たちはある隕石を薄い酸で少しずつ溶かして出てくるセシウムの多い部分を分析して、Ba-135 が多く含まれていることを世界で初めて発見しました。おそらくこの隕石ができた環境では周りに水がありセシウムを溶かしていて、それがバリウムに変わって残されていたのだと思われます。同種の隕石では岩塩の結晶が見つかっており、今後、この岩塩そのものを分析してみたいと思っています。

研究員に聞いてみました!

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1)専門は何ですか?

宇宙地球化学、隕石学です。具体的には隕石などの地球外の物質の化学分析・同位体分析を行って、太陽系の成り立ちについて研究しています。

2)研究者になろうと思ったきっかけは何ですか?

小学生の時にアポロ 11 号が人類初の月着陸に成功しました。また、SF小説も大好きでしたので、将来は何か役に立つ発明をしたいと思いました(今はすぐに役に立つような研究ではありませんが…)。

3)最近の研究活動で、最も興味深かった出来事は何ですか?

やはり小惑星探査機「はやぶさ」の帰還です。大学院生だった頃、宇宙研の研究会で夢物語のように思える計画が議論されているのを聞きましたが、とうとう実現したんだと感慨深かったです。

4)研究者になりたい方に一言アドバイスを !

好きなことは続けられますし上手になります。これが好きだ!というものを見つけましょう。もちろん好きなことを続けられるように勉強などもがんばりましょう。